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死霊の異世界カーニヴァル  作者: 豚骨ラーメン太郎
第四章  【悪霊の墓】深層
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第三話  真なる契約

作品タイトル募集中です。


どんなものでも構いません。


メッセージにてお送り下さい。

辺りは惨憺たる有り様だ。


竜の息吹によって地は焼け爛れており、その現況である屍竜は止めどなく血を流しながら絶命している。


セレスとサリスが倒れ伏し、サリスに至っては身体の大部分が溶けている。


突如現れたスィーリアは、倒れている俺に優雅に近寄ってくる。


「正直、今の貴方が屍竜に勝てるとは思っていなかったわ。…………配下に恵まれたわね。」


彼女はそう言って、悲しげに目を伏せた。


「スィーリア…………頼む、あいつらを助けてくれ。………俺の大事な………仲間なんだ。」


スィーリアが目を閉じて、何かを考えるような仕草をする。


やがて、ゆっくりと開かれた目には、何かを躊躇うような色が見えた気がした。


「方法が………ない事もないわ。」


その言葉を受けて、俺は勢いよく起き上がった。


「本当か!?どうすれば良いんだ!?」


「貴方と契約をすれば良いのよ。彼女達を………真の意味で貴方の配下にするの。そうすれば彼女達は進化できる。今を生き延びる事くらいならできるはずよ。」


「真の……?どういう事だ?」


「契約というのは、本来もっと重たいものなのよ。貴方達がいま結んでいるのは仮契約………口約束みたいなものね。」


「それは………どんな違いが?」


「真の契約を結んだ従者………眷属は、常にあなたと共にある事を強要されるの。それは物理的な事ではなく、魂に関する問題よ。」


「魂に関する……?魂が共にあるって、どういう事なんだ?」


「例えば、眷属がどこにいても主が感知する事ができるとか、主に対して虚偽の発言ができなくなるとか。……………それから、死後に行く場所とか。」


「つまり、俺が死んだ後………というよりいつか消滅した後はスィーリアのものになる契約をしているから、あいつらと俺が契約を結んだらあいつらもスィーリアのものになるって事か?」


「その考えで間違っていないわ。………それに、主人が死んだら、眷属も死ぬ事になる。」


「そう………なのか。」


「えぇ、だからよく考えなさい。…………とは言え、彼女達の状態を考えるとそう長くはないわね。特に霊体の彼は、急がないと霊魂までもが消えてしまうわ。」


レイはまだ完全には消えていないのか。


それは良い事を聞いた。


「悩むまでもないさ。どうすれば良いんだ?教えてくれ。」


そう、悩むまでもない。


あいつらは言った。


常に俺と共にあると。


ならば、こんな契約は今更だ。


あいつらも、必ずそれを望むはずだから。


「本当に良いのね?この契約は、後で解除する事なんてできないわよ。」


「二言はない。方法を教えてくれ。」


スィーリアは暫くこちらを見ていたが、俺の意志が変わらない事を悟って、深く溜め息を溢した。


「真の契約には、眷属の忠誠と主の対価が必要よ。眷属の忠誠については何も問題はないわね。」


「主の対価ってのは?何かを払うのか?」


「その個体によって対価は違うの。親和性があるんだけど、ちょっと見てみるわね。」


そう言うと、スィーリアは眼に何かの気のようなものを集めて、セレス達を観ていった。


「ふぅん………魔術師の彼女は魔力ね。剣士の彼女は血よ。貴方の魔力と血を、彼女達に与えて主従の誓いを立てれば、契約が完了するわ。」


「魔力と血か………。レイはどうなんだ?」


「霊体の彼は………ちょっと特殊ね。彼は魂の結び付きを欲しているみたい。」


「魂の結び付き?それって普通に契約するのと何か違うのか?」


「いえ、ほとんど変わらないわ。言ってしまえば、契約する事が契約の対価ってところかしら。余程精神的な絆に惹かれているみたいね。」


生前の事が関係しているのだろうか。


とにかく、三人を助ける目処は立った。


あの屍竜が暴れまくったお陰で、暫くは屍霊も近付いてこないだろう。


俺は早速契約を結ぶ事にした。


セレスの身体になけなしの魔力を注ぎ、サリスの身体に血を落とす。


レイとはどうやって契約を結べば良いかわからなかったが、スィーリアによると、霊魂はまだここにあるから普通に誓約を述べれば良いとのこと。


準備が終わり、俺はセレス達の前に立った。


「………お前達には散々助けられた。今こうして俺が立っていられるのは、お前達のお陰だ。その上でこんな事を頼むのは烏滸がましいのかもしれない…………だが、俺はまだまだお前達と一緒にいたい!一緒にここを出て、外の世界を旅したいんだ!……………だから頼む。セレス、サリス、レイ…………皆、俺と契約を結んでくれ!!」


すると、黒く光る模様が現れ、闇が俺達に纏わりついた。


これで、皆を救えるんだ………。


気を失う寸前、スィーリアの声が聞こえた。


「ーーーおめでとうネクロ君。条件達成により、貴方の眷属達が進化するわ。それにより、貴方の条件も達成……………これで最上級の魔物になるわね。本当に……おめでとう。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ーーー夢を見ていた。


あれはまだ小学生低学年の頃。


孤児院で暮らしていた俺はほとんどの子ども達から避けられていた。


この頃は、まだ秋人や春香とは仲良くなっていなかった。


俺と一緒にいてくれるのは、幼稚園からの付き合いである真冬だけだった。


真冬の家は孤児院から近く、俺は毎朝真冬と一緒に登校していた。


この日もそうだった。


昨夜はゲームの事を考えすぎて眠れなかったから、酷く寝不足でふらふらしていた。


徹夜でゲームするのは院長先生が許してくれない為、布団の中で考える事しかできないのだが、それだけでも俺は十分に楽しかった。


それくらいゲームが好きだったんだ。


見かねた真冬が話しかけてくる。


「根黒………ふらふらしないで、危ない。」


真冬はこの頃から無口な娘だった。


だから俺と同様に友達はいなかった。


「うん、ごめん………昨日あんまり眠れなくて。」


「……また、ゲームしてたの?」


「ううん、ゲームするのは院長先生が駄目って言うから、考えてたの。」


「…………考えてて、眠れなかったの?」


「うん、そうだよ。」


「…………変なの。」


「……そうかな?」


「ん、やっぱり根黒は変。………ふふっ……。」


何が面白いのかはわからなかったが、こういう時真冬は決まって小さく笑ってた。


俺はその顔が好きだった。


「ねぇ根黒………根黒は、将来したい事とか……あるの?」


そうだ、この時は珍しく真冬がそんな事を聞いてきたのだった。


「将来?んー………わかんない!」


「そう………。」


「でもね……僕、大人になったら冒険したい。」


「………冒険?」


「そう!ゲームの主人公みたいに、色んなとこに行って、色んな冒険したい!!」


真冬はこの時どんな顔をしていただろうか。


呆れていただろうか。


それとも笑っていただろうか。


今ではもう、思い出せない。


しかし、この後の言葉は今でもずっと覚えている。


「…………なら、冒険に行く時は、私も一緒に連れていってね。」


それは、俺にとってとても大切な約束だった。


俺は夢の中で謝ろうとした。


こんな事になってごめん、と。


一緒にいられなくてごめん、と。


いつか……いつか必ず会いに行く、と。


しかし、口を開いたその時、俺は何かに引っ張られるように、夢の世界から追い出されてしまった。


水面から浮き出るような感覚。


微妙に懐かしいようなダンジョンの気配。


背中には固い土の感触。


だが、頭の下には柔らかいものを感じた。


これは………太もも?


更にサラサラと頭に当たる人の手の感触。


誰かに頭を撫でられているようだ。


ゆっくりと目を開けると、優しげな瞳で俺の顔を覗きこむ美少女の顔。


淡い光を放っているようにさえ見える美しい銀色の髪は、ほっそりとした白い首の根元に届く程度の長さ。


慈愛に満ちた赤い瞳。


柔らかそうな唇が小さく笑みを作っている。


そして何故か執事服のようなものを着ている。


…………………………え?


この美少女はどちらさん?


混乱していると、その女性が話しかけてきた。


「………ようやく目が覚めましたか、ご主人様。お身体は大丈夫ですか?」


はて?ご主人様?


「あ、あぁ大丈夫だけど…………君は………」


いや、待てよ。


初めて見る娘だが、何となく知っている気がする。


よくわからないが何故か既視感を覚える。


「もしかして…………サリス……か?」


すると、彼女はちょっとだけ笑みを深くした。


「わかって頂けて、嬉しいです。」


…………………………おいおい、まじかよ。


「………何があったんだ?セレスとレイは?」


「姉さん達は鍛練をしに外へ行っています。何が、というと…………進化したんです。」


どんな進化をしたら骸骨が人間になるんだ。


というか外って………あ、ここ空域だ。


「お前達が運んでくれたのか?あれからどれくらい経ったんだ?」


「はい、僭越ながら僕が運ばせて頂きました。………あれから、たぶん数日程は経過したと思います。僕達は数時間で進化が終わったのですが、ご主人様はかなり時間がかかっておられたので、そのままお連れしたんです。………先程進化が終わられたようだったので、失礼ながら膝枕をさせて頂きました。」


「いや、それは全然構わない……というかむしろ礼を言いたいくらいだよ。」


「そうですか、それでは今暫くこのままでいらっしゃいますか?」


「あぁ、悪いな。もうちょっと頼むよ。」


「はい、どうぞごゆっくりと。」


それからセレスとレイが戻ってくるまで、俺が眠っていた間の事を聞いていた。


セレスとレイも進化したが、二人はサリスほど見た目は変わっていないらしい。


セレスは骸骨のままだが、そんなに高くはないが常時浮遊できるようになり、何故かマントを羽織っているという。


レイは元々忍者服を少し着崩したような格好をしていたが、それは今でも変わっていないのだとか。


しかし、少し身体が大きくなっており、身体の薄さを操作できるようになったらしい。


セレスのマントやサリスの執事服は、進化した時には着用していたとのこと。


理由は不明だが、執事服に関しては忠誠の証とかそんな気がする。


本人は気に入っているようなので問題はないだろう。


また、サリスが言うには俺もかなり変わっているのだとか。


起き上がって立ってみると、視線がまた少し高くなった気がする。


175cmくらい?


確実ではないがたぶんそれくらいだ。


服装も変わってる。


今までは如何にもゾンビっぽいボロい服を着ていたが、今は黒のスラックスに白のシャツ………それも教師やサラリーマンが着ているようなのではなく、クール系のホストが着ているようなデザインだった。


俺も進化が終わった時にはこの格好だったらしい。


まぁ見た目の割には全然動きやすいし、良いんだけどな………こんな服装した事ないから違和感がある。


そんな風に自分の姿を確認していると、かすかに声が聞こえてきた。


バタバタと走ってくる音。


やがて空域の入り口に、半透明の男とマントを羽織った骸骨が現れた。


二人とも浮いている。


知らない人が見れば軽くホラーだが、俺は見慣れた二人に挨拶をした。


「よぉ、助かって良かったぜ、二人とも。」


「ご、ご主人様ぁぁぁ!!ご無事で良かったですぅぅぅ!!」


「旦那ぁ!!自分は信じてたっすよぉぉぉ!!」


二人とも号泣しながら突進してきた。


セレスは途中で転けた。


レイは通り抜けて行った。


何がしたいんだこいつら。


とりあえず泣きじゃくる二人をサリスと一緒に宥める。


セレスはまだ浮遊に慣れておらず、焦るとああして転けてしまうのだそうだ。


ようやく泣き終えた二人を見て、話を始めた。


「まぁとにかく、こうして三人で会えて良かった。………お前達のお陰で、あの屍竜を倒す事ができたよ。ありがとな!………あと、勝手に契約結んで悪かったな。」


「屍竜を倒すなんて流石ご主人様です!!」


「従者として、当然の事をしたまでです。」


「むしろ契約結んで生き返らせて貰って、旦那に感謝してるっすよ!!」


こいつらと一緒にいられて良かった。


改めてそう思った。


それから色々と話していたが、ふと思い出した。


「そう言えば、折角進化したんだからステータス見ないとな。良いか?」


全員の了承を得て、魔眼を発動させた。




【ステータス】

『名前』

 ネクロ

『種族』

 アンデッドロード

『スキル』

 屍霊の王Lvー

 体術Lv4

 格闘術Lv4

 再生Lv4

 魔眼Lv4

 魔力感知Lv5

 魔力操作Lv5

 無属性魔術Lv5

 闇属性魔術Lv4

『称号』

 元無能魔術師

 邪神の寵愛

 名持ち魔物

 屍霊の王

 最上級魔物

 竜殺し




【ステータス】

『名前』

 セレス

『種族』

 リッチ

『スキル』

 魔術合成Lvー

 魔力感知Lv5

 魔力操作Lv5

 火属性魔術Lv5

 風属性魔術Lv5

 土属性魔術Lv4

 魔力回復促進Lv4

『称号』

 元賢者

 ネクロの眷属

 名持ち魔物




【ステータス】

『名前』

 サリス

『種族』

 ヴァンパイア

『スキル』

 吸血Lvー

 体術Lv5

 剣術Lv5

 再生Lv3

 見切りLv5

 魔力感知Lv4

 魔力操作Lv4

 無属性魔術Lv4

『称号』

 元剣聖

 ネクロの眷属

 名持ち魔物





【ステータス】

『名前』

 レイ

『種族』

 ファントム

『スキル』

 物理透過Lvー

 体術Lv5

 短剣術Lv4

 投擲術Lv4

 気配察知Lv5

 気配隠蔽Lv5

 魔力感知Lv5

 魔力操作Lv4

 無属性魔術Lv4

 闇属性魔術Lv3

『称号』

 元忍者

 ネクロの眷属

 名持ち魔物




……………何か色々増えてるな。


気になるものを見ていこう。


まず俺の種族アンデッドロード。


その名の通り、屍霊型の魔物では最高位のものだ。


新しいスキル『屍霊の王』は、味方の屍霊を強化し、敵の屍霊を弱体化させるもの。


セレスの種族であるリッチは、魔術を極めた屍霊だそうだ。


『魔術合成』は、複数の魔術を合わせてより強力な魔術にできるというもの。


セレスが更に強い魔術を放つとか…………。


サリスの種族はヴァンパイア。


筋力や敏捷性などの身体能力が非常に高い近接種族だ。


いきなり増えた再生スキルがレベル3って凄いな。


『吸血』のスキルは、誰かの血を吸う事で一定時間あらゆる能力が強化される、というもの。


しかしその間は理性が薄くなるらしく、あまり多用はできないのだとか。


レイの種族はファントム。


幽霊だな、うん。


新しいスキルは手に入れていないが、索敵や隠密が以前より高性能になったらしい。


何というか、こんなに簡単に強くなってしまって良いんだろうか…………とも思ったが、よく考えたら別に簡単でもなかった。


ここに落ちてから短くない時間経っているはずだし、何度か死にかけてるし。


うん、俺達頑張ってる。


とりあえず俺は王らしく誇りを持つ事にした。

ついにサリスが美少女に………。


しかも男装の麗人。


しかもボクっ娘。


完全に趣味です、はい。


挿絵(By みてみん)

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