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死霊の異世界カーニヴァル  作者: 豚骨ラーメン太郎
第一章  プロローグ
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第二話  幼馴染み

HRが終わり、妙に長く感じた学校から解放された僕は、手早く荷物をまとめて教室を後にした。


なにやら春香が話しかけようとしているように見えたが、秋人が防いでくれたようだった。


昇降口で靴を履き替えようとした所で、ふと思い出した。


図書室で借りた本の期限が今日までだった事を。


外靴を戻して踵を返す。


早く返して家に帰ろう。


そう思った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



図書室の扉を開けると、既に数人の先客がいた。


その中に知っている顔を見つけた。


サラサラとした金髪を纏めてサイドに流している、春香にも負けない美少女だ。


しかし、鋭い目つきと他者を寄せ付けない雰囲気から、一人でいる事が多い。


彼女の名は浅黄(あさぎ)(ゆい)、クラスメイトだ。


一見不良に見える彼女だが、実は読書が趣味だという事を僕は知っている。


僕自身、図書室にはそれなりに通う方だから、ここで顔を合わせる事も多い。


話した事もある。


皆が言う程話しにくい人じゃない。


しかし今日は早く帰りたいから、素知らぬ顔で通り過ぎようとした………のだが。


「ちょっと、挨拶くらいしても良いんじゃない?」


そう言って軽く睨み付けてくる。


鋭い目付きで睨まれたら中々に怖いものがあるが、僕は平然を装って応えた。


「あぁ、ごめん。何か集中してるみたいだったからさ。……邪魔しちゃ悪いかなって。」


「別に……。富士崎は今日は何しに?」


「本を返しに来たんだよ。期限が今日までだったのを忘れていてね。」


苦笑いを浮かべる僕に、浅黄さんは呆れた様子を見せる。


「あんた、この前もそんな事言ってなかった?意外に忘れっぽいんだね。」


そう言って軽く笑う。


笑った顔に少しだけ見とれてしまった。


いつもそんな風に笑っていれば良いのに。


柄にもなく、そんな事を思った。


「ん、どうかしたの?」


「あ、あぁ、いや……何でもないよ。それじゃ、僕はこれで……。」


「そうかい。それじゃ、またね。」


「うん。」


浅黄さんと別れた僕は、手早く本を返却し、下校した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



スーパーで買い物して家に帰ると、家の前に秋人がいた。


「よぉ、おかえり根黒。遅かったな。」


「秋人……どうしたの?」


「特に何もねぇよ。ただ久し振りに根黒と遊ぼうかなってな。」


「それなら連絡くれれば良かったのに。……まぁ良いや、入りなよ。夕飯はどうする?食べてくなら作るけど。」


「お、良いのか?悪いな!ご馳走になるよ。」


家に上がってお茶を出した。


料理をする間、秋人が風呂の掃除をしてくれた。


あれこれと作業をして、二人でテーブルに着く。


今日のメインは唐揚げだ。


秋人は大好きな唐揚げに目を輝かせていた。


鶏肉を多めに買っておいて良かった。


「ごちそうさん。いやー旨かった旨かった。根黒の料理久し振りに食ったな。また腕を上げたんじゃないか?」


「お粗末様。まぁ、一人暮らしにも慣れてきたからね。」


「最近オバさんには会ってるのか?」


「先週会いに行ってきたよ。未だにあれこれ心配してるんだから、あの人は……。」


「あはは、それだけ根黒が大事なんだろうよ。」


秋人の言うオバさんとは、僕が中学を卒業するまで世話になっていた孤児院の院長の事だ。


僕がまだ幼稚園児だった時に両親は事故で亡くなった。


院長は僕にとっての母親みたいなものだ。


多少過保護過ぎる人なのだが。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



それから秋人の色々な事を話した。


春香がいつも僕の事を気にしているとか、それを止めるのが大変だとか。


もう一人の幼馴染みである真冬が僕と遊びたがっているとか。


また今度会う約束をして、秋人は家へ帰って行った。

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