ちょっとした妄想
みなもの朝。
うららかな日差しと鳥のさえずりで目を覚ます。
癖のある彼女の銅色の髪が日差しにより、鈍い光を見せる。
「朝・・・・・」
眠そうに体を起こして、目をこするみなも。
彼女のパジャマはよくある可愛いらしい普通のパジャマとネグリジェなるものもあるのだ。
「みぃ~」
目をこすりながら欠伸をして起き上がるみなちゃん。
もちろんみなもとお揃いとパジャマである。
「みなちゃん、おはよう」
「みぃ!」
みなもは笑顔でみなちゃんに話しかけると笑顔で返事をかえすみなちゃん。
机の上にある自らが描いた不憫そうなオーラをまとう少年の絵を描いたスケブを開いて指でなぞる。
それからシャワ―を浴びにみなもは向かった。
もちろん、みなちゃんも一緒にだが。
お風呂にもつかり、目を覚ますと体をタオルケットで拭いて頭も丁寧に拭いて柔らかな柔球をブラで包んで下着もつける。
制服に身を包んで、髪を鏡を見ながらサイドに結んでからおろしてある長い髪をブラシですく。
みなちゃんはみなもを見ながらまねをしていた。
なんとも愛らしい姿である。
みなもはみなちゃんを見てにっこりと笑みを見せながら抱き上げて歩き出す。
その後は台所に向かったみなも。
そこには彼女の優しそうな父がおり、みなもに気づくと笑顔を見せる。
みなもとはちがい茶色のちょっと癖のある髪をした優しい風貌の男性である。
落ち着いた雰囲気もあることと、見た目からして若いので大学生といっても通るくらいだろう。
「おはよう、みなも、みなちゃん。 今日は早いな」
「おはよう、お父さん!」
「みぃ~♪」
二人は笑顔で笑いながら挨拶をし、仲良く椅子に座り、テーブルに並べた朝食を仲良く楽しむのだ。
「今日もなにか描いてから行くのかい?」
「うん、早くに起きたしそれくらいなら大丈夫かなって思って」
「あむあむ♪」
みなもの父の幸隆が笑顔で尋ねると彼女は笑顔で返事を返す。
みなちゃんというといまだに食事に夢中のようだ。
そう、彼女の横にはスケブとカバンがきちんと置かれてあった。
これが彼女のいつもの日課なのかもしれない。
「絵を書くのはいいけど、知らない人と言葉巧みな勧誘には誘われないでね?」
「お母さんみたいなことにはならないと思うけど、そうするね」
幸隆はみなもにそう注意をこめて告げると困ったように笑いながら頷いた。
彼女は優しいからこそ、困っている人には手を手向けてしまうのだ。
「ところで、みなも」
「なあに?」
にこにことみなもを見つめる幸隆。
それに気づいて首をかくん、とかしげるみなもはとてもかわいい。
「好きな人はできたかな?」
「ぶはっ!? にゃにを!じゃないなにを言ってるの!? いないよ、そんなひと!!」
笑顔で尋ねた父にみなもは味噌汁をふいてしまい、口元をティッシュで拭きながら慌てて答える。
「そうかな? 中学の頃に憧れの異性がいたと思ったんだけど」
「も、もう! そういうの忘れてよ!」
首をかしげる親にみなもは両手をふり、そう叫んだ。
早くご飯を食べると消化に悪いのでゆっくり噛みしめて食べる。
それから食べ終えると食器を片付けて鞄とみなちゃんを抱いて外に出る。
マフラーとコートをしていてもやはり朝は寒いとみなもは体を震わせながらいきつけ公園に向かう。
そこでベンチにすわり、スケブに絵を描くのだが・・・・だんだんと描いてるものが違うのになる。
それに気づいて慌てて直すのだが、直すになおせない事態に。
「うぅ・・・・父さんが余計なこというから」
と、ぽつりとつぶやくみなも。
彼女には中学時代から想いを寄せている異性がいる。
それは不憫でバケツをひっくりかえしたり、穴に落ちたりラッキースケベを起こしたりもするが。
不良に絡まれているみなもを救ったのはそんな彼なのだ。
「上狼先輩・・・・」
小さな声でみなもはつぶやいていた。
「呼んだ?」
「わひゃああああああ!!?」
上から聞こえてきた声に驚いてベンチからずり落ちるみなも。
その拍子にスケブも落としてしまうのだが・・・。
「おいおい、大丈夫か?」
「ひゃ、ひゃい・・・・だ、だいじょうぶでしゅ」
苦笑しながら手を伸ばす彼におずおずと手を乗せるみなも。
引っ張り起こしてもらうとみなもは緊張しながらも起こしてくれた人物を見つめる。
不憫そうなオーラがあるがイケメンの部類にはいる少年―――そう、彼が上狼秀久であり、みなもの想い人だ。
「あ、あの・・・ありがとうございます」
「いや、急に声をかけた俺も悪かったし」
もじもじしながら言うみなもに秀久は気にするなという態度で笑う。
彼女の鼓動はもう爆発寸前なくらいドキドキしているがそんなの目の前の人物は気づいていないだろう。
「え、えっと・・・その・・・こ、これで失礼しましゅ!」
「え? あ、おい!」
顔が赤くて鼓動のドキドキも止まらないので慌ててスケブとカバンとみなちゃんを抱えて公園から出て行くみなも。
「なんなんだ?」
そんな彼女を不思議そうな様子で見つめる秀久であった。