上狼みなも
秀久くんと結婚してから一緒に過ごしてから幸せだった。
旅に出ると言った時は本当は止めたかった。
だって、それは一人になるということだから……。
でも、秀久の決めたことを無理に曲げるのはよくない。
自分の感情を押し付けるのもよくない、だから無理して笑顔で見送った。
周りは当然、反対していた。とくにほのちゃんは怒っていた。
わたしの一番の親友だからこそ、わかるんだろう。
でも、くじけそうな彼や入院したときの彼を見るとどうしても励ましてしまう。
これも血縁なのかもしれないね。
入院したときは急いでかけつけたし、手を握っていた。
動けない彼にせめてできることをしたくて……。
再び動けるようになると、日本に帰って家に向かった。
開けてただいまというとスズが近寄ってきてなぐさめるようにすりよってくれる。
しゃがんで抱き上げて喉を撫でてソファーに倒れこみ、スズに癒される日々。
でも、本当は寂しくて悲しくて苦しかった。
それでも頑張れたのはほのちゃんや榊さんたちがいてくれたからだと思う。
娘が生まれたときはもっと忙しくなったのを覚えてる。
夜泣きはもちろん授乳など、おしめとかいろいろ。
スズが泣きそうな咲良に近寄り、あやしてる光景はかわいかったなぁ。
すごく大変だったけど、スズと遊んだりほのちゃんや榊さんたちに手伝ってもらうことで少しは楽。
怖かったのは秀久くんのいる地域の天災などと、住人たちの視線。
ずっと耐えて耐えて倒れそうになるけど、頑張っていた。
「にゃ~」
「スズ、いつのまにか猫いっぱいになっちゃったね?」
スズの喉をこしょりながら笑う私。
「あう~きゃうう~♪」
隣には生まれた愛しい娘の咲良が両手足を動かして猫たちに構ってもらってる。
「ふふ、かわいい」
その様子をスマフォで撮り、秀久くんに送る。
窓の外を眺めて祈りをささげる。どうか、無事に帰ってきてくれますようにって。
「約束、守ってね。 秀久」
ぽつり、とつぶやきながらスズや他の猫たちや咲良と一緒に目を閉じて眠る。
寂しい寂しいという気持ちに押しつぶされるじゃないかというくらいの気持ちはあった。
産まれたときもみんなに支えてもらっていた。
それでも寂しさはどうしようもならないから、秀久に手紙を送る。
届くかはわからないけど。 それでも………。




