甘えん坊日和(風邪)
秋雨さんのリクエストを書きました!
「37度8分。 これは休まないとダメだな」
「ごほごほっ……うぅ、ごめん」
体温計を見ながら言う裕樹に裕香はしょんぼりした顔でせき込みながら布団で顔をかくす。
楽しみにしていたお出かけがおじゃんになったから悲しいのだろう。
「裕香ちゃんが謝ることないよ? 体調をなおしてそれからまた遊びにいけばいいんだしね」
「そうそう、裕香が気にすることないない」
「ないない、ないよー!」
「みぃ!」
「ぴよ!」
「ガウ」
「みゅ~」
みなもが裕香の頭を撫でてふんわりと笑うと裕樹も笑みを見せてなだめる。
つぐぴょんとみなちゃんとこばりとゆーきとゆーかも同意見のようである。
「裕香ちゃんを病院に連れていきたいけど……しんどいよね。 うーん、なら」
裕香の容態を見てスマホのような端末を取り出すとそこからどこかに連絡をする。
しきりに頭を下げているのが裕樹たちにはわかる。
「よかった、すぐに来てくれるって」
「誰に電話したんだ?」
みなもが振り向いて笑顔で言うと裕樹は首をかしげる。
せき込みながらも裕香も不思議そうである。
「あ、頼りになるお医者さん。 訪問してくれるって」
にこにこと笑顔を見せるみなも。
するとインターホンがなり、裕樹は外に出ると白衣を着た黒髪の女性がいた。
「はじめまして、私。 一条こよりというの。 医師の免許もあるから大丈夫よ」
「あ、あぁ。 とりあえずどうぞ」
こよりに挨拶されて戸惑いながらも案内する裕樹。
そして裕香に近寄り、手を優しく包んで微笑みかけるこより。
「すぐに風邪を治しちゃおうね」
そう言うと、喉をみたり触診をしたりして裕香の状態を調べる。
そして、薬箱から風邪薬を取り出してみなもに手渡す。
「ありがとうございます。 一条先生」
「いえいえ。 私もお手伝いできたからよかったわ」
みなもが頭を下げるとこよりは笑みを見せてそう言うと部屋から出て行く。
あっというまの出来事であった。
「すぐにお粥さんつくってあげるね」
「牛乳粥がいい」
「え、えっと?」
「うちではいつも牛乳粥なんだ。 なんだったら俺が作ろうか?」
みなもが立ち上がると裕香は布団から顔を出して言い、小首をかしげるみなもに裕樹が説明する。
なるほど、と納得してから裕樹を見て。
「ううん、私が作るっていったので私がつくるよ」
「そうか? じゃあ、頼むな。 しかし、医者の知り合いがいるとはな」
みなもは笑顔でそう言うと氷枕とホットココアを作り出しながらそうつぶやく。
「お母さんの知り合いの人でね。 よく見てもらってたの」
牛乳粥を作りながらみなもは懐かしそうに語る。
数分後……。
「あちち」
「慌てて食べなくても大丈夫だよ、ほら、貸して」
牛乳粥をみなもに食べせてもらい、一息ついた裕香は横になる。
「じゃあ、風邪薬も飲もうね」
「うぅ、飲めるけど味が嫌い」
みなもに笑顔で言われて嫌そうな表情を見せる裕香。
「ダメだよ、薬飲んで早くなおしたいでしょ?」
「うぅ………」
みなもにたしなめられて困った顔をする裕香。
「そうだ! えっと、あった! これなら美味しく飲めるよ?」
そう言いながらコップにゼリーのようなのをいれるまえに薬をいれてゼリーのようなのをいれてかき混ぜると、裕香の背中を起こしてコップを渡す。
じっと、コップを見つめてから覚悟を決めて飲むとすんなりと喉を通り飲めた。
「ね、苦さ感じないでしょ?」
「うん!」
みなもに言われて裕香は笑顔でうなずいた。
「よかったな、裕香」
そう言って裕香の頭を撫でてからホットココアを渡すと裕香は覚ましながらそれを飲んで、横になる。
「ふぅっ」
「気分はどうかな?」
一息をつく裕香に声をかけるみなも。
「少しはよくなった、かな」
「眠かったなら、寝ていいよ? 一緒にいてあげるから」
「ありがとう」
裕香の言葉を聞いて安心し、手を握りながら言うとお礼を言われてゆっくりと目を閉じる。
ほどなくして寝息をたてはじめる裕香。
「ないない~」
「ぴよ~」
「みぃ~」
「グルル」
「みゅ~」
裕香の周りに集まるぷちず。
よほど、心配なのだろうことは誰にでも予測できる。
つぐぴょんは裕香の汗をタオルでふいてあげていた。
こばりは裕香の額に絞った濡れタオルを乗せているようだ。
みなちゃんは裕香の傍で寝そべって心配そうだ。
ゆーきとゆーかも心配そうに裕香を見つめているようだ。
「みなも、後は任せていいか?」
「あ、はい。 大丈夫だよ」
裕樹に言われて振り向いてうなずく。
「じゃあ、頼むな。 買い物行ってくる」
「はい、行ってらっしゃい」
裕樹がそういうとみなもは少し照れながら見送る。




