つぐみんが龍星の義妹でしたら!
美桜の運転する車でとある場所へと急いでいた。
車内はとても静かだ。
「いまから向かう場所には世界に秘匿されていた子がいる場所なの。
でも、いまはピンチだからわたしたちが連れていってあげないと彼女の幸せがないわ」
「うん、母さん」
美桜に言われて龍星は幼いながらにうなずいた。
途中で黒い海のようなものがでてきそうではあったがきゅうに消えた。
それに気づいた美桜は厳しい表情をしてから車を発進させてとある場所に向かう。
しばらくしてついた場所はある部分だけをのこして半壊していた。
慌てて車から飛び出して、銀色の長い髪に赤い瞳の少女を抱きあげて急いで出ると、その屋敷は崩壊した。
「母さん!」
「大丈夫よ、さあいきましょう」
慌てて近寄る息子にまだ幼い童女をタオルに包んで手渡す。
不思議に思いながらも少女を抱き上げて車に運び、後頭部の席に寝かせると。
美桜にせかされて助手席にのり、そのまま去ることとなった。
そのまま家に連れ帰り、ぼんやりとしている無表情な彼女に触れ、いつくしむように撫でていた。
それはとても暖かいと少女は思っていた。
暮らしていくうちに、だんだんと笑うようになってきて。
女装させられる兄を見て笑っていたり、おそろいがいいってねだったりもしていた。
龍星が遊びにいくときはついていこうとする。
美桜のときも龍星のときも彼女はちょこちょことついていくのだ。
そんな彼女をいとおしいとおもい、大切に大切に育てていた。
美桜が預かったのは親友の娘で名前はつぐみといい。 そんな親友からこの子をもしもの時は頼むと言われて引き取り、育ててきたのだ。
ちなみにつぐみが家にいるときは着ぐるみパジャマをきている。
龍星や美桜が必死に選んでそれをもらったときは満面の笑顔をうかべていたそうだ。
「あ、ながれぼし!」
「つぐみはなにを願ったの?」
「んとね、んとね! お兄ちゃんとママの本当の娘と妹になりたい!」
つぐみが笑顔で空を庭から見上げて言うと美桜はあえて聞いてみた。
すると彼女は笑顔でそんなことを言った。
「そうか」
「何言ってるの、もう本当の娘で妹でしょ?」
苦笑する龍星に美桜は少し悲し気にだが、笑顔で見つめて抱き寄せる。
ちなみに今のつぐみのパジャマは羊のパジャマである。
「そーなの?」
「そうだよ」
「そうよ」
つぐみの問いに二人は笑顔でうなずいた。
すると、むぎゅーと美桜に抱き着いて胸元にすりすりしていた。
いままで不安でしょうがなかったのだろう。
だからこそ、流れ星の噂をきいたときにそう願いたかったのだろう。
そして次の朝、龍星と美桜は驚くことになった。
銀色の髪と赤い瞳は美桜や龍星ゆずりの髪色と瞳色に変化していたのだ。
まさか、あの願い星がかなえたとでもいうのだろうか。
いいや、そんなことありえるのだろうかとも考えていた。
だが、それより起きたときの彼女の嬉しさにそんなことはもう失せたのである。
引き取られたときから美桜や龍星とおそろいのおねだりを願っていあのだから。
このときに二人は心に誓った、つぐみをずっと守り続けようと。
猫のぬいぐるみやうさぎのぬいぐるみを抱きしめて太陽のように笑う彼女を見て。