つぐみと兼人
『よし、きょーもおれのかちだな!』
『ちがうよ、きょうもわたしのかちだよ!』
『いいや、きょうもおれのかちだ!』
『だから、ちがうっていってるじゃん! カネちゃんのばか~!』
『うっせーなぁ、ちがくねーよ!』
『おにいちゃんとれいちゃんはどうおもう?』
『おれだよな、あにき!?れいあ』
『いや、どっちもどっちだろ』
『もぐもぐ・・・ここはわたしだとおもうんだけどね』
『『え~!? 』』
『はいはい、喧嘩はそこまでにして遊ぶぞ? レイアもあおるな』
『くぅ~……ぜったいかってるんだけどな~』
『そんなことないもん! わたしのかちだもん!!』
『いいかげんにしないか』
ペチンッ!ぐりぐり!
『い、いてえよ。あにき』
『あうう、ぐりぐりはやめて~っ』
『少しは反省しろよ、おまえら』
『にはは、おにいちゃんはつよし、だね』
目覚まし時計の音で夢から覚醒する。
思えばこのころから少女と少年はよく喧嘩をし、その仲裁に龍星がしていた記憶がある。
ときには取っ組み合いなどもしてぼろぼろになり、兄貴分の龍星とそのお母さんと両親に怒られもした。
まあ、少女としては腑に落ちないことなのだが。
友達のフレイヤことレイアはあおったり、仲裁したりと様々であるけど。
それでも仲がよいのではある。
けど、少女は思うのだ自分より少年と合うのはレイアではないかと。
そんなこと思っていたりもするけど、それをレイアに言えば呆れられるし、龍星にも呆れられる。
周りからはよい仲だといわれるけど、ありえないという確信がなぜかある。
その理由はよくわからないけど、それ自体呆れられることが多々ある。
そんなことをぼんやりと考えながら少女はベッドから起きて、パジャマから制服に着替えて、髪を櫛で整える。
団子にゆい、ツーテールにして準備完了。
鞄を手にもち、部屋を出て階段を下りてリビングに向かう。
寂しい空間といえなくもないリビングにいき、台所にいき朝食を作る。
そこで朝食を食べて、ぼんやりとテレビを眺めてから食器を洗い、弁当を作り、鞄に入れて鍵をもって家を出る。
玄関を出るときに行ってきますとつぶやくけど声などはない。
そのまま家を出て玄関の鍵をかけて隣にある家へと向かう。
身長のライバルで幼いころから競い合ったあの少年の自宅へと。