ぼくのとなりに魔法破壊娘がいます その2
「魔道士には、柔軟性も必要!
今日は、跳び箱だ!!」
カイトのクラスは、水曜日の1時間目が体育の授業である。
体育の先生が、跳び箱を宣言する。
低い段から、少しずつ高くしていく。
準備運動を終え、4段からはじめる。
軽々と飛び越える男子生徒たち。
しかし、何度やっても、4段で躓いてしまう男子生徒がいた。
「オリベルト……」
助走して、踏み切り板で飛んでも、跳び箱の向こう側に飛ぶことができない。
ぺたん、と跳び箱に座って終わる、それを繰り返していた。
まだ跳び箱4段である。
「……カイトくん~」
「オリベルト……」
「おいっ、早くしろよ」
オリベルト以外は4段を飛び終えていたので、ユウがせかしてきた。
「どうしたら飛べるの?」
その問いに対して、カイトとユウがほぼ同時に同じ回答を出したのだった。
「3段は飛べたよね」
「3段飛べれば十分だろ」
「えっー」
「オリベルト、大丈夫だ。
跳び箱飛べないくらいで、生活に支障はない」
「いや、飛べないと、体育の成績が!!」
「それも、大丈夫」
「へっ」
「オリベルトの体育の成績はこれ以上下がらないから」
「僕は上げたいんです」
こうカイトとオリベルトがやりとりをしている間に、ユウが5段に変更していた。
「よし、5段にしたぞ」
「ユウくーん」
結局、オリベルトの跳び箱の記録は、3段だった。