表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/14

送別会は突然に その2

教室はざわめいている。


試験の総合結果が配られていた。


友人と順位を比較して喜んでいる者、総合得点を確認して顔をしかめる者など、

様々である。


ユウ・ローゼンモートリオも試験結果を眺めている一人だった。


彼の表情は少し暗い。


試験結果には、総合得点と学年の順位が記載されている。


『学年2位』


この結果を後ろからみた男子生徒が声を上げる。


「おいっ、ユウ、2位かよ!」


「すげぇ~」


どよめきたつユウの周囲の人たち。


しかし、ユウの表情はすぐれない。


『2位じゃダメなんだよ』


ユウは心の中で叫んだ。


しかし、その声は周囲の人に届くことはない。


「すげぇ~、2位だって!!」


相変わらず、騒いでいる。


『ダメなんだ』


その声は、周囲の人に届くには十分だった。


周りの目は、ユウに注がれる。


『ダメなんだ……』


ユウの視線の先には、小柄の男子生徒がいる。


顔はよく見えない。


『あいつがまた1位か……

 くそっ、奴を超えることはできないのか?』


その男子生徒の顔は見ないが、彼を見て笑っているように感じた。


『あいつ、俺を馬鹿にしているのか』


彼は怒りに身を任せ、この男子生徒を追う。


周りには何も見えない。


彼の目に映るのはこの男子生徒のみ。


もう少しで男子生徒を捕まえることができそうなところまできた。


しかし、男子生徒を捕まえることはできない。


それどころか、遠ざかっていく。


『待て、待てよ!!』


どんどん遠ざかっていく男子生徒を男子生徒。


それとともに、周囲が光輝き、男子生徒を見ることすらできなくなってしまった。


眩い光で男子生徒どころか周囲が見えなくなる。





「うわっ」


ユウは声をあげて立ち上がってしまった。


そこは、教室だった。


周囲の生徒の視線がユウに集まる。


彼は、周囲を気にしながらも、何事もなかったかのように席に座る。


『夢か?』


寝汗をかいている。


彼は夢の内容はあまり覚えていないが、彼にとって嫌な夢であったことは

間違いない。


彼が首をひねり思い悩んでいると、ユウは話しかけられた。


「よう、ユウ」


ユウにとっては、聞き覚えのある声だった。


「キリングス先輩……」


「送別会実行委員……」


「もう、その話は断ったはずですよ」


「何とか」


「何とかできません。

 お引き取り下さい」


「部活の先輩の言うことが聞けないのかよ」


「引退した人は、部活の人ではありません。

 もう、OBですよ」


「OBの……」


「何と言われようとダメです。

 試験勉強があるんですから」


「頼むよ……」


「他の人に頼んでください」


キリングスはなおもユウを見つめるが、ユウは目をそらす。


その場は膠着状態になるが、ここでキリングスを動かす出来事が起こった。


それは、幼馴染のファリカが入ってきたのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ