ぼくのとなりに魔法破壊娘がいます その5
リビングには、シャンデリアや棚、アンティーク調の調度品が並ぶ。
中央に長いテーブル、そのテーブルに8脚の椅子がある。
いつもは全員が揃わないので、半分くらいしか使わない。
しかし、今日は、既に席は埋まっている。
奥の席の父を初め、祖父母、父、母、兄、姉が座っている。
カイトは思わず見回してしまった。
皆、帰宅時間が異なり、いつもは別々に食事を採る。
しかし、今日は全員そろっている。
今日は、皆、帰宅時間を合わせていた。
『謀られたか』
カイトは一瞬、動揺してしまい、扉付近に立ち止まってしまう。
それに気づいたのか、父親の方から声がかかる。
「カイト、早く座りなさい」
「……はい、父上」
厳かな中、カイトは自分の席に座る。
座ると父親が食前の挨拶を終え、食事が始まる。
静かなリビングに、食器の音が響く。
何の会話もない。
カイトには、なぜ、この場が設けられているかは
あまり理解できていなかった。
この為、父親が帰ってくる時は、できる限り
用事を作って避けてきたのだ。
特に会話がなく、時だけが過ぎていく。
静かな夕食。
『何か、話した方がいいのか』
父親の方が気になって、食事どこではなかった。
何を食べているのか分からないままカイトは口に食事を運ぶ。
結局、何も話がないまま、食事は終り、
カイトはリビングを出て自分の部屋に向かった。