ぼくのとなりに魔法破壊娘がいます その4
カイトは家に到着する。
大きな屋敷。
鉄格子の大きな門、車2台程度が出入りできる。
その端には、人が出入りする分の扉がある。
カイトはその門から入っていく。
その時、カイトは普段と違うことに気づいた。
普段はない父親の車がある。
カイトはそれを横目に玄関に入る。
「ただいま」
「お帰りなさいませ、カイト坊ちゃま」
広いエントランスに執事であるアシナオ・キリングス
が帰宅準備をしていた。
執事といえども、住み込みではない。
9時頃に来て、18時頃に帰る。
まるで、サラリーマンである。
「今日は残業ですか?」
「はいっ、今日は夕食がございますので、それで残業
になってしまいました」
「えっ、夕食、ですか」
皆、帰りがバラバラなので、その都度、母親が準備を
する。
しかし、ある時を除いては、執事のアシナオが手伝う
。
「やはり、父上が帰られているんですか」
「えぇ、自室で休息をとられていますよ」
「あらっ、カイト、おかえり」
母ラガサがエントランスにやってきてカイトに声をか
けた。
カイトよりも身長は低く、目はたれ目で、優しく微笑
む。
カイトは母親に軽く会釈する。
「もうすぐ、夕食よ」
「はい」
母親と別れ、カイトは2階の自室に向かう。
部屋の扉を開け、椅子に座る。
明日の準備を済ませ、机に頬杖をつきながら考え込む
。
『何で、今日に帰ってくるんだ』
父親は世界中を飛び回る科学者であり、家に滞在する
ことは少ない。
月に1度程度帰宅し、一家揃って、食事をするのが慣わ
しであった。
しかし、カイトは、父親の帰宅を知ると、その都度、
用事を作って
父親と顔を合わせないようにしていた。
『今日はどうして連絡がなかったのだろうか?』
なかなか、リビングに足が向かない。
机に根が張ってしまった。
『何を話せばいいのだろうか?』
しかし、時はせまっていた。
「カイト、早く降りて来なさい」
母親にせまられて、いやいやカイトはリビングに向か
うのだった。