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コバルトブルーで抱きしめて
夏休みがもうすぐそこに近づいている、7月7日。
真っ青な空にのびる、ひこうき雲。
強い日差しの向こうで、ゆれる路面電車。
私、16歳の高校2年生、花井たまをは、この海辺の街に引越してきた。
新たな出会いに胸を躍らせて。
初登校の前の日、丘の上の小さな美容院で、
伸びていた髪を肩につくくらい、前髪を少し短めに切ってもらった。
そして今、わたしは新しく転校する星ノ川高校の門をくぐる。
「おはよ~」
「おはよっ」
にぎやかな風景。
明るい笑い声がどこからともなく聞こえる。