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scene5
Scene5
空はすっかり闇に染まり、星がチカチカと煌いている。ふと時間を確認すると、もう七時を過ぎている。
俺の名前は国崎光留(男)。少し前の無駄に長い二百メートル描写によって記憶が薄れつつあるだろうか? 憐れな友人いわく「薄情者其の弐」だ。
ようやく家に着き、鍵を開けて中に入り、鍵を閉め直す。リビングの明かりは点いているが、妙に静かだ。
部屋に荷物を置き、手を洗い、うがいをし、リビングに足を踏み入れる。そしてテーブルの上には「今日はみんなで映画を観に行きます☆ ご飯は適当に食べといてね! 愉快な家族たちより」と書かれた紙が。
「……マジで?」
今日の晩飯何かなーと考えながら帰ってきたのに。無駄に使ってしまった思考力を返してくれ。
「っていうか俺の話これだけ? ……そうか、原田の話は二百メートル描写が無駄に長かったから今度は短くていいや的なノリか。そうなんだな?」
と見えない相手に少し遠回しに嫌味を言い、虚しく冷蔵庫を開けた。