scene3
Scene3
それから数時間後、大学の学食ホールにて。
「そりゃ災難だなー笠木ぃ、まぁ頑張れよ」
武藤以外の割と仲のいい友人の一人、原田海都は俺の肩に手をポンと置き、笑顔で言った。
「ひ、他人事だと思って……」
「だって他人事だもん」
「うぐぅ……」
この薄情者め。せいぜい胡麻豆腐の角で頭打って悶絶しろ。
と心の中で捨て台詞を吐きトマトを食べようとした俺は、箸で摘み損ねて危うく下に落としそうになった。
「しっかし武藤がヘビ好きとはなー」
この場にいるもう一人の割と仲のいい友人、国崎光留がぼやいた。そして唐揚げを一つ頬張った。
「ほんとまさかだし、まいってんだよ……」
俺はすっかり項垂れ、もう面倒だからトマトは指で摘んで食べることにした。くそっ、酸味が余計にしみる。
「でもそのヘビ……」
「タツオな」
「……タツオは、大人しいんだろ?」
国崎は玉子焼きを頬張った。
「まぁな……でも武藤のやつ、やめろって言った時はすぐにケースに入れてくれるんだけど、タツオを首に巻くのはやめないもんだから、ソファーに並んで座ることも憚れるわけだよ」
まったく、せめてそれだけはやめてほしいものだ。俺は竹輪をほんの一瞬喉に詰まらせかけた。
「でもま、武藤にとっては大事な家族なんだし。頑張って慣れろ」
言って国崎は茶をすすった。
「……お前も原田と同類か」
「だって他人事だしー」
くっ。お前ら二人とも酷い花粉症になって苦しめよ。
またも捨て台詞を心の中で吐きご飯を口に入れた俺は、自分自身が花粉症にかかっていることに気付き咳込んだ。
そしてどうでもいいが、こいつらも俺や武藤と同じ高校出身であることを書き留めておこう。