放課後、学校の一年生校舎に来てください
今日は遅刻気味だ。
寝坊したため、まだ眠たさが残っている。
いつもは同じ中学生の声でにぎわってる通学路は、いつもとは違う雰囲気を持っている。
もう遅刻確定は言うまでも無い。
俺が学校に着くまでに、友達と出会う事はなかった。
俺は遅刻した事で、心が晴れないまま学校の靴箱の前に立った。
自分の上履きを取ろうと思ったら、上履きの下に真新しい紙が入っていた。
紙にはこういった内容が書かれていた。
「放課後、学校の一年生校舎に来てください」
俺の気分は一転した。心が晴れ晴れとした。
俺にも青春が……。
中学校生活三年ので、ようやく俺にも春が来たようだ。
俺は放課後に、いつもは見せない満面な笑みで一年校舎の屋上へ向かった。
案の定、屋上にいくと誰もいない。
ああ、いたずらだったか。俺って単純だな、そう思った時だ。
女子中学生が俺に背を向けてゆったりと立っている。
その顔には見覚えがなかった。
俺は青春を味わいたい男子の中の一人。話しかけてみる事にした。
「あの、貴方ですか?」
少女は何も答えない。緊張してるのか、人を間違えたか。
「ねぇ、中学生が自殺したらしいわよ。前にも同じ事件が一回あったわね。同じ場所で。」
「えっ、最近は屋上で自殺する中学生が多いわね」
俺はもうこの世には存在していない。
あの手紙は、俺の命を奪ったんだ。
今度は、俺が貴方に手紙を送るよ。
「放課後、学校の一年生校舎に来てください」
ってね。
放課後、あなたは行きますか?
自殺、いや、殺されに来ますか?
俺が殺してあげるよ。貴方を。