転校生が来たけど
いつものように、学校のクラスの席につく。
見慣れたクラスメイトーーだが今日は何処か落ちつかないようだ。
「おい久保聞いたか、今日転校生がくるらしいぜ」
「そうなのか、知らなかった」
「それがさぁ、見た奴の話によると、すっげ美人らしいぜ」
「ほう、そうか、まぁ期待しないで待っておくよ」
俺ーー久保誠は、話半分で聞いていた。
他人の言うことはそれくらいの感じがちょどいい。
自分の目で見たものを信用する⋯⋯それが俺の考えだからだ。
「おはよう、さっそくだが、今日からこのクラスの転校生を紹介する、入ってください」
「はい、わかりました」
「転校生の山本だ。 では自己紹介お願いします」
「山本沙織」
「うん、続きをどうぞ」
「別に、特にありません。 これといって興味ないので。 席何処ですか、座ります」
先生の制止も効果がなく、彼女は席に座る。
隣の席だ、俺は彼女を見る、すると彼女と目が合った。
「なにかようですか、こちらを見ないでください」
「その席、今日休みの奴の席だから⋯⋯こっちじゃねお前の席」
「ふぇ⋯⋯そうですか、わざわざありがとうございます」
山本は無愛想に返答して、俺が指した席に座った。 また隣なので気まずいのか、彼女は心なしか恥ずかしそうにしている。 それが彼女との初対面だった。
「ニャ~かわいい子猫ちゃんだニャ」
俺は放課後、用事があったのでショッピングモールに来ていた。
用事も終わり、あたりを徘徊していると。 ペットショップに山本がいた。
「はぁ~いいわ、やはり猫は最高、この世で一番だわ」
「ねぇ、お母さんあの人さっきから、ぶつぶつ猫に呟いているよ」
「しぃ、気付かれたらまずいから別の所にいきましょう」
「ほら、かわいい猫ちゃん⋯⋯あっちの猫も可愛いわね、こんにちは猫ニャン」
「ブゥ⋯⋯あ、しまった」
「な⋯⋯あなたはたしか、今日転校したクラスにいたキザ野郎じゃあないですか」
「はぁ⋯⋯そう言うお前は『あなた達に興味ないんです』と言いたげに自己紹介をすっとばしたのに、席を間違えて座ったことでさっそく、クラスの人気者になった、転校デビュー失敗人間だろ」
「なんですって、わたしには山本沙織って名前あるんですけど」
「じゃあ俺は久保誠って言うんだ、よろしくな」
「こちらこそよろしくお願いします⋯⋯って、あなたのせいで失敗したんだからね、責任とってよ」
「諦めろよお前⋯⋯多分お前にはクールキャラは無理だ、むしろ良かったじゃないか最初の方で諦めがついて」
「そんなことないわ、あれさえなければ今頃『おい今日来た転校生クールだったよな』『だね』って話題になっていたんだから」
「浅いな考えが⋯⋯それにこんな所でニャンニャン呟いている奴、絶対クールじゃないから」
「聞いてたの⋯⋯わたしのニャンツイを」
「ニャンツイ? なんだその単語は、流行らせたいのか」
「くぅ⋯⋯こうなれば久保誠、覚悟」
「うん、どうした、山本沙織⋯⋯俺の周りをくるくる回って」
「今、あんたを気絶させる急所を探しているの。 そうあんたの記憶を消す為のね」
「物騒だなおい⋯⋯大丈夫、内緒にしてあげるから」
「うるさい、あんただから余計に消すの、私は明日から本気をだす」
「そう言う発言する奴に碌なのいないっての。じゃあ帰るわ、また明日な」
「あ、はいまた明日⋯⋯しまった、まだ記憶消してないわよ、待ちなさい」
次の日いつものように、学校のクラスの席につく。
見慣れたクラスメイトーーだがそのよこには⋯⋯
「よ、おはよう山本」
「来たわね、久保誠⋯⋯ちょっと、大丈夫よ、痛いだけで済むように勉強してきたから」
「なんていうか、あのさぁ、時間はもっと有意義に使ったらどうかな」
「ふふ、貴方の記憶を消して私は生まれて変わるの⋯⋯あたらしくね」
「なぁ久保、お前ら仲いいな。 仲良しコンビ結成か」
「組んでもないし、仲良くもないな、今のところは」
「山本さんは生まれて変わらなくても十分素敵だよ、自分に自身もって」
「えぇ、どういたしまして」
クラスメイトと話す俺たち、今日からこれがいつもになるのか⋯⋯