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【第6話】モーフォンの夢紡ぎ

“Somniorum textor, filamenta mentis,

in obscura lucem parvulam nectens,

Morphon, texe visiones tacitas.”

(夢を織る者よ、思考の糸よ、

 闇にほのかな光を結びゆく者よ、

 モーフォンよ、静けき幻を紡ぎたまえ。)



ネブクロムが夜のあわいを渡ったあと、

その袋の中には、まだ名のつかぬ揺らぎが残されていた。

それは言葉にならぬ想い、形にならぬ記憶、

重なりもせず、離れもせぬ曖昧な「なにか」。


そこに現れたのが、モーフォン。


彼は夢の構築神。

形なき想いを拾い、結び、紡ぎ、

一夜限りの世界を編み上げる者。


彼の指は糸を持たぬが、空をる。

彼の目は現実を見ぬが、想いを視る。

そしてその胸には、誰よりも深い眠りの鼓動があった。


「夢とは、記憶と願いの交差点。

 いずれ現か、いずれ幻か――選ぶのは、見る者。」


モーフォンは、ネブクロムが集めた夢の素を受け取り、

静かにその繊維を紡いでいく。

花が咲き、空が裂け、

亡き者が微笑み、知らぬ場所へ手が伸びる。


彼の創る夢は、終わると同時にほどけ、

跡形なく消えてしまう。

だが、見た者の胸のどこかに、

なにかがほんのりと残る。


それは希望か、悔いか、あるいはただの暖かさか。

どれであっても、モーフォンはそれを否とはしない。


フトンヌの領域に、ついに「夢」が宿った夜。

神々の眠りは、さらに深く、そして豊かになっていく。

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