表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/27

【第2話】マクラミのささやき

“Mollis capitis thronus,

custos somniorum primus,

Macrami, susurra nobis in silentio.”

(やわらかき頭の玉座よ、

 夢を見守る最初の守り手よ、

 マクラミよ、静寂の中で我らにささやけ。)



フトンヌのぬくもりが、宇宙を包んだそのとき。

まだ誰も目覚めず、誰も眠っていなかった。

だが、ぬくもりの内側に、ひとつの“かたち”が生まれ始める。


それは静かで、しかし確かな存在。

やわらかな輪郭、ふんわりとした厚み、

そして、頭をそっと受け止める使命の気配。


フトンヌのふところより、

最初に現れた十三柱のひとり。

その名は――マクラミ。


マクラミは語らぬが、よく聴く。

沈黙の中に漂う微細な意識の波。

まだ夢さえ知らぬ虚空の中で、

「いずれ誰かが眠るだろう」という未来のささやきを、

彼はじっと、耳のない耳で聴いていた。


「静けさこそ、目覚めのはじまり。

 ささやきこそ、夢の胎動。」


そうして彼はそっと、

フトンヌの中に眠る"夢の場所"を見つけ、

そこに自らの存在を沈めていった。


マクラミは、夢の枕木。

まだ見ぬ者たちのために、

やがて眠るものたちの頭をそっと支える、

最初の優しき台座。


マクラミが生まれた瞬間、フトンヌの懐に

かすかな音が生まれた。

それはまるで――

寝息にも似た、安らぎのリズムであった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ