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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

あなたの全てを……

作者: 雛菊桃華

全員クズな話。最後まで読んでください。衝撃な結末をご覧ください。

物心ついた時から一緒にいた。

同じ地区の幼馴染。毎日一緒に野山を駆け回り、水遊びをした。

いつからか。小学校中学年あたりから、違和感が起こった。

今まで大親友で一緒にいた幼馴染。

でも、周りの反応が違う気がする。

客観的に考えてみた。

幼馴染は、見た目が良かった。頭も切れた。運動神経が良かった。

それに比べ、僕の取柄は「幼馴染と仲がいい」ことだけ。

勉学に励んで、体も鍛え、おしゃれをしてみても、みんな幼馴染の方に行く。

気付いたら悔しくて、情けなくて。

一緒に並んで歩くと、否応なしに幼馴染と比べられる。

僕は、彼と距離を置くことにした。


それはほんの小さなきっかけだった。

「あ、教室に体操着忘れた!取ってくる!」

体操着を忘れた僕は、一人で教室に戻ってきた。

急いで体操着を持って走って教室を出ようとした時、人気者の彼の筆箱に手が当たった。

筆箱からシャーペンが飛び出し、床に落ちた。

それは流行りのシャープペンシルで、朝から皆が彼を囲って騒いでいた物。

それを踏んで壊してしまった。

「やべぇ……どうしよ……」

その時、チャイムが鳴った。

僕は知らないふりをして教室を後にした。


授業が終わり。

クラスメイトが教室に帰ってきて、少し教室がざわつく。

朝、みんなで騒いでいた彼のシャープペンシルが壊れている。

シャープペンシルの前で立ち止まっている幼馴染。

その目の奥に悲しみが見える。

その顔が最高に気持ちよくて。

僕のせいで悲しい顔をしている。

僕は見えないところで微笑んだ。


それから僕は幾度となくちょっとした嫌がらせをした。

一人になれる時を狙い、キーホルダーを壊す、弁当をぐちゃぐちゃに振る。

気付いた時の彼の顔を見るのが愉快でたまらない。

そしてあの日。

僕が彼の筆箱の鉛筆をすべて折っていた時。

ついにクラスメイトに見つかってしまった。

クラスの人気者に悪質な嫌がらせをし続けた最低なやつ。

皆が罵り、蔑む。

「仕方ないよ、物はいつか壊れるから……」

彼の発言がさらに糾弾を呼ぶ。

僕は一気にクラスのカースト最下位に落ちた。


誰にも話しかけられない。返事もない。空気のようだ。

(もうどうでもいい……)

僕は一言も喋らない日があっても気にならなくなった。

そして、事件が起きた。

移動教室から帰ってくると、彼の大切にしていた、リンドウのネックレスが無残な姿で彼の机の上にあった。

「これ、おばあちゃんの形見なんだ……」

彼は憂いの帯びた目で話した。

その時、クラスメイト全員が僕の方を向いた。


「ちが……僕じゃな……」

僕は必死に弁解するが、誰も信じない。

「お前まじで最低だな」「そこまでして嫌がらせするのかよ」「本当に最低。人としてどうなの?」

全員が敵意を向けて、僕を見る。

その敵意に負けて、僕は盛大に吐いた。

「うわ、汚ぇ」「気持ち悪い」

僕は胃の中にあった消化物を全て吐き出す。

「きもっ、自分で綺麗にしろよ」「まじでお前クズだな」

僕は顔を上げれず、必死に服で嘔吐物を拭いた。




それから、想像を絶する虐めが始まった。

「ねぇ、リンドウの花言葉って知っている?」

幼馴染と二人っきり。

学ランを破られ、教室で体操着に泣きながら着替えている僕の耳元に幼馴染が顔を寄せる。

「悲しんでいるあなたを愛する」


そういって、ネックレスを壊した張本人が教室を後にした。


初投稿です。

よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
綺麗にまとまってて読んでて楽しかったです。登場人物全員、欲しがりさんですね。
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