29 名簿って割とラスボス書いてあること多いよね?
「たいせんよろしくおねがいしますくまっ。」
受付で手続きをする勇者くんとくまたん。
「2名様エントリーですね。こちらに氏名のご記入をお願いします。」
くまごろーときたない字で大きく書くくまたん。
「ししょー、三人分くらい、欄、使ってません?」
「いつも丸い手だから、しょうがないくまっ。」
???
この人は何を言ってるんだろうと思いながら、とりあえず流して置く勇者くん。
おししょー様のくだらない会話には付き合ってられないのだ。
そして勇者くんもそれに続いて記入する。
「え?そんな名前だったくま?てっきり勇者が名前だと思ってたくま。」
「なんて書いてあるくま?えっとあるでんて?」
「アル・アルデバランです。アルデバラン。ほら師匠の国と同じ名前ですよ。」
「そこはたいして驚かんくま。」
ずこー。
ずっこける勇者くん。
「ていうかししょーってほんとにくまごろーって名前なんですね?てっきり二つ名かなにかかと…。」
「くまが苗字でごろーが名前くま。」
「こんどからごろー師匠って呼んでいいですか?」
「それはやめとけくま。セロテープはるゴリラみたいな高レベル冒険者と間違われるくま?」
「え?そんな奴いました?」
「うちの国にいるくま。ライバルくま。全身ムキムキのゴリラくま。」
「???…。それ人間なんですか?」
「いつも人間といるからペット的なヤツかもしれんくま。」
「とんでもなく強そうな冒険者ですね…。」
☆☆☆
「それより、いまはらーめんくま楽しみくまっ。」
「早くお料理食べたいくま―。」
「まだ、くま?」
「まだ?くま?」
待合室に通されたけど…。食欲を隠し切れないくまたん。
その手にはナイフとフォーク。
その目はめちゃきらきらしてる。
この人は何を食べに来たんだろうか。
ちらちら、匂いの漂う方向を眺めては足をもじもじ、そわそわが隠し切れない御様子。
「まだくま?」
「まだかなーくま?」
「ししょー。戦う前の武者震いですね?とりあえず、そのナイフとフォークしまいません?」
「え?これで切って食べるくまよね?器ごと?」
「…。器は食べモノじゃないですよ?というかそれ、食べたら、カウントできないので食べない方がいいです。」
この人は何を食べに来たんだろうか?
いや、考えても、理解できないと考えるのをやめてしまう勇者くんなのだった。
☆☆☆
「対戦者はなるほど、サドンデス形式ですか。」
暇になりもらったゲームブックを読む勇者くん。
ルールは簡単。制限時間内でどれだけ多くのラーメンを平らげることができるのか?
「つまり、ラーメン食べ放題ってことでいいくまよね?」
「まあ、そういうことですね。制限時間内であれば。」
なお、汁は残してもよいものとする。
中の麺がすべてなくなったら完食とみなす。
「ふんふん。だいぶ、わかってきたくま。」
優勝賞品はアストリア王国のラーメンの麺一年分。
「まじかくま。マジックバックに入れて持って帰るくまっ。」
超ごきげんのくまたん。
「ししょー。よかったですね?」
「タダで食べれて、賞金もらえるとかサイコーくま。」
そして最後に名簿がつけられている。
「こんなのみても。知り合いいないから全然わからんくま。」
上から下まで知らない名前が延々と並ぶ。
「ちょっと見せてもらっていいですか?」
「いいくまけど…。」
勇者くんに名簿を渡すくまごろう。
「一人か二人ぐらいなら知り合いもいるかもしれません。」
「えー。」
勇者くんの指が名簿の名前をなぞっていく。
「ん?」
「気になる名前でもあったくま?」
「いや、同姓同名という可能性も…。いやないか。こんな特徴的な名前、他では見たことないし…。」
センシ・ドスコイ
「勇者パーティの戦士の名前です。」




