21 密着 ハチミツ大作戦☆
「王国へ行くにはこの洞窟を通った方が近道なんですがどっちがいいですかね?」
そう勇者くんに聞かれる私。
「ちなみにこっちだと?」
もう一方の違う道を指す私。
看板には至 アストリアの文字。
「そっちのルートは遠回りなんです。まあ、そっちのルートの方が安全なのですが…。」
もう一方には看板はない。
いやあった。
この先危険につき、回り道推奨。
「え?勇者くんこっち行くつもり?」
絶対やめといたほうがいいと思うのは私の気のせいだろうか。
「実はこの洞窟には凶悪なキラービーという蜂型の魔物が生息してるんです。そしてそのハチミツはとてもおいしいと言われています。」
と勇者くん。
「実はひそかにししょ―の好きなものリサーチを行ったのですが…。」
「ふむフム。」
「聞き込みによるとどうやらハチミツが好物らしいのです。」
うんうん実にクマっぽいな。
「ししょ―はラーメンが食べられずだいぶへしょげているので元気を取り戻してもらうにはちょうどいいのではないかと。」
くまたんを見やるとなるほど、あらぬ方法を向いて半ば放心状態である。
「あー、あんなところにちゃーしゅーあるくまー。食べたいくまー。届かないくまー。」
「くまごろう、それは雲ですよ?」
「あーんくま。」
「くまちゃん。口綴じて。」
「それじゃちゃーしゅ―くえないくまっ。」
まさしく雲をつかむようなことをしているくまたん。
そしてそれを抑え込むフェーナ。
「え?大丈夫なの?」
「それは大変曇ったくま。」
私が声をかけても、とまあ、こんな状態、大変重症である。
「うん、近道しよっか?」
「くまたん、ハチミツ食べる?」
勇者くんに聞こえないようにくまたんに尋ねる私。
「はちみつ大好きくま。」
「は・ち・み・つ。とってもいい響きくま。」
ちょっだけ機嫌のなおったくまたん。
というわけで、くまたんのご機嫌取りのため、なぜか危険なルートへ足を踏み出す私たちなのだった。
☆☆☆
「ところで勇者くん。この洞窟入る前の看板にキケンっ書いてあったんだけど…。」
「ああ、それは一般の冒険者に向けてですよ。竜王、倒した激強つよパーティには、あんまり関係ないと思います。」
「…。それはまあ、確かに。」
☆☆☆
「で、ここがその問題の洞窟ってわけね…。」
森の中にたたずむ、大きな洞穴。
ところどころ天井に穴が開き洞窟というよりは谷ってイメージの方が似合う場所。
穴の開いた天井からは木々の葉っぱが生い茂るのが見て取れる。
床にはたくさんの色づいた落ち葉。
ところどころ、赤い葉っぱの木が洞窟の地面から生え、森の中の洞窟といった感じ。
今のところキケンなところはなさそうだけど…。
たぶんどこかにいるんだろうな。
蜂型の魔物が…。
ソレか小さすぎてその辺飛んでるけど見つけられないとか?
「ありました‼あれがキラービーの巣です。」
先頭を進む勇者くんの声。
勇者くんの指さす先、みると、巨大なハニカム構造の構造体が岩壁にくっついている。
そして中には見るも見事な黄金色のとろけるようなハチミツ。
「きゅまっ?」
とたんに輝くくまたんの目。
巣から垂れる黄金のハチミツに目はくぎ付けである。
「それにしても、大きな巣くまね。さぞかし、ハチミツも一杯取れるくまね?とりあえず撫でとくくま。」
巣に抱き着いて頬ずりし始めるくまたん。
「はい、師匠、空き瓶にありったけ詰めて、持ち帰りましょう。」
勇者くんがずた袋の中から大量の空き瓶を取り出す。
「気が利くくまね。」
それを受け取り、でかいハニカム構造の中に空き瓶を突っ込み、ハチミツを採取するくまたん。
「いっぱいくまー。次の空き瓶入れるくま―。うまそーくまー。」
「ちょっとなめてみるくま―。大変うまうまくまー。」
どれぐらい大きいかというと一つの八角形の構造体にくまたんすっぽり入っちゃう大きさ。
そこにくまたんは半分顔を…というか上半身を突っ込み、中にたまっている蜜を救い?出そうと奮闘している。
☆☆☆
「というかこれだけ大きいと…。この巣を作る生き物もめっちゃでかいってことだよね?」
だってあのハニカム構造一つの小部屋でくまたん一匹を丸ごと吞み込めそうなぐらいの大きさ。
「そうですね。この大きさだとおそらく、私たちと同じくらい…。そう、ちょうど、あのくらいのサイズ感です。」
くまたんの後ろを指し示すリリア。
なるほどそこにはでっかい蜂の影。
ん?
もしかして詰んだ?
次回 くまたん 死す?




