9 ケロくんの秘密と三倍アイスクリーム
「まさか。くまたんの中の人が男の子だったなんて…。」
湯船でシャワーを浴びる男の子。
「下もしっかりついてるし、むしろ、あんなに、かわいい声だったのに…。」
「天使様、落ち着いてください。むしろ、着ぐるみの中身が汗臭いおじさんとかでなかっただけましなのでは?」
「確かに…。」
それよりは…。衝撃はものすごいけど。
よく見たらかわいいかも…。
輝くような金髪に…。真っ白い肌。
「あの…。あんまり、ジロジロみないでください。はずかしいです。」
両手をクロスさせ、体を隠すくまたん。
なんかすごいギャップ。
こんなんだっけ?
リリアに聞くと「しろくまは意外と照れ屋なのです。」とかえってきた。
着ぐるみ脱いだら人が変わる系?人じゃないけど…。
そういう感じ?
「しかし、しろくま、トイレはたしか女性のほうに入っていたはずなのですが…。以前は…。」
「団長はここで待つくま。くまたんはケロくんとトイレに行ってくるくま。」
「ケタケタケタ(そっちは男子トイレですよ?くまたん?)。」
「?もっち…ろん。わかってたくまよ?」
「ケロくんが心配だったから、付き添いで行ってあげてただけくま。」
「ケタケタケタ(そうですか?)。」
「そうくまっ!」
「と、赤面しながら男子トイレから出てきたことがありまして…。」
「え?それじゃ…。ここにいるのは…。」
しばし二人の間で続く沈黙。
そしてそれを破ったのは…。
「ケロ君、まったーくまー?」
がちゃん、と突如開く扉の音。
そしてどこかで聞いたことのあるような声。
「ケロくんお待たせーくまっ。」
湯気の向こう側に見えるたのはタオルを手で押さえただけの女の子。
背中に天使の羽をはやした白髪のすっぱだかの女の子。
「あっ?えっ?」
そして、当然のことながら、私たちとおもいっきり交差する視線。そして死戦。
「えっ誰?」
「なんと、無礼な?」
目と目が合う私たち。
「無礼なのはどっちくまっ。まおーさまでもゆうさないくまー。」
ばっちーん。
あたりに響く平手打ちの音。
そしてさらに加速する攻撃。
「くっま~っ、くーまっ。くまー。」
拳にかすむ炎の影。
「くまぱーんち☆」
☆☆☆
「そこになおれくまっ。」
部屋の床に座らされ、説教される私たち。
延々といや、永遠と続く説教の真っ最中。コレはいつ終わるんでしょうか?いや、終わらないよね。
そして始まるお説教タイム。
「ケロくんになにするつもりだったくま?」
「?????」
「えっ。ケロくん?ってあのその。もじゃもじゃの?二足歩行の?」
えっ、あれケロくんだったの?筋肉ムキムキの?
「まあ、確かに私がスケルトンだったし、なくはないですね。」
「そうかも。」
「私も、変わってからは全てを把握しているわけではありませんし。くまたんが…。」
ひそひそばなしをする私たち。
「そこ、ひそひそばなし禁止くまっ。」
ペシって、くまたんから振り下ろされるながーい棒。いや、それ、座禅か?
「まおーさまとはいえ、次はゆるさないくまよ。」
ぱしぱしっと。手を払うくまたん(中身)。それにしても可愛い。
そばにはほっぺたに平手打ちをくらい、すでにつっぷしてるリリア。もうすっかりきれいに伸びちゃってる。
「うへえ。」
いい夢は見れなそうかも…。
☆☆☆
「もう、というかまおーさま、他にやることあるくまよね?」
そう言いながら、また、着ぐるみを着るくまたん。中身、結構、かわいいのになー。
「会議に、勇者対策に、やることいっぱいくま。」
「やっぱり、こっちの方が落ち着くくま。」
半分顔(中身)を出しながらそんなことをいうくまたん。
「いや、ソレもありかも。」
「いや、なにキモいこといってるくま?」
☆☆☆
「ケロくんの種族ってなに?」
「あえっつと…。」
「飼い犬(LV70)です。」
「?????」