19 第一村人発見‼ すいません、間違えました。
「第一村人発見‼」
町を出て、国境沿いの森の中へと入ってきた私たち。
遠くに人影を見た私はおもわずそう言葉を発した。
「???」
「天使様?なんですかそれ?」
前を行くリリアにそう聞かれる。
「いや、人生で一回言ってみたい言葉の一つだよ。こういう山の中で使うのがいいの。人里離れたところで村人、人間の村民を見つけた時に使うんだ。」
「あんまり聞いたことないですが…村人がいるということは近くに村があるかもしれませんね。でも、天使様ひとつ言っていいですか?」
「うん、いいよ。」
「あの村人。人間じゃないです。」
「へ?」
「え?」
☆☆☆
え、思わず、変な声でたんだけど…。
「今なんて言いました?」
「ですから、ニンゲンじゃありません。」
え?ちょっとまって、にんげんじゃない…?
まあ確かにここファンタジーの世界だし。
必ずしも出会うのが人間じゃない可能性ももちろんあるわけだけど…。
そもそもここ魔族領だったわけだし、東の森みたいに魔物の類が残っていたり、もしくは新たに生まれていても不思議はない。
でも二足歩行してるし…。
後ろ姿はどう見ても人間のソレだけど。
ただ、まあ、なんというか部族的な衣装ではあるけど。
「にしても、なんかちょっと毛深い?」
ような気もする。
でもゴブリンみたいな感じでもない。
だとしたら…。
他に二足歩行の魔物いたっけ。
それかただ、毛むくじゃらの世界から隔絶された地域の人間さんである可能性もまた否定できない。
「?・?・?」
いや、でも、考えてみてもわからないものはわからないな。
「あの村人の種族って…。」
「いや、そこまではわかりません。もっと近づいてみないと…。」
だったら行動あるのみ。
「姉さま、私もお供いたしますわ。」
「ちょ。女王様危険です。相手が人間だとしても賊の可能性も…。」
先頭の勇者くんを追い越し、相手のその正体を見破る。
「こんにちはー。」
作戦その①とりあえず遠くから声をかけて、手を大きく振ってみる。
これが最適解。挨拶は大概の不審者は爆散しちゃう魔法の呪文なのだ。
要するに様子見である。
「ぶびぃいい?」
「???」
帰って来たのは豚の鳴き声みたいな返事。
「豚みたいな返事ですわね。」
「もしかして、鼻詰まってる?何言ってるかちょっとよくわからない。」
ちなみに作戦その②は相手に気づかれないように回り込んで確認だけど…その必要はなかったみたい。
「ぶもっぉ。」
「え?鼻、詰まってるわけじゃないよね?」
言語を理解したのか、あるいは音に反応したのか。
こちらを向いてくれたから。
「ぶもぉおおおっ。」
そしてこちらを振り向くニンゲン(仮)
「鼻水、ぶっかけないでくださいまし。汚いですわ。」
咆哮とともにこちらに飛んでくる鼻水。
たまったもんじゃありません。
素早く身を引くフェーナと私。
とても人間にできる芸当じゃない。
「え?本当に人間じゃないっぽい?」
その姿はイノシシのような鼻に牙。
そしてやはり、ちょっと毛深い。
こっちに振り向いたから分かったけどこれ…。
オークってやつだよね。
その体は毛におおわれ、おなかがでっぷり出ている。
遠くから見た時は人間サイズだったけど、私たちの身長よりは全然大きい。
ミノタウロスよりは小さいけど。
それにくまたんがいつだか、見せてくれたあのオークにそっくりだ。
あそこまでは脂ぎってないけど。
例の冠をつけたでっぷり太ったオークさんね。




