16 城内に害虫が出たので客人とクマに対応してもらいます。
「って、ししょー?いったいどこから?」
いつの間にか、着ぐるみを脱いだ形態で登場するくまたんいや、この形態の時はクマゴロウと呼ばれているらしい…が現れた。
「いつもお前の心の中にいて、見守ってるくま。今ピンチそうだから出てきてやったくま。」
超絶かっこよくそう言い放つくまたん、いや、くまごろう。
いや、それ、くまたん、めちゃくちゃ嘘じゃん。
そもそも勇者たちとは最初にクマゴロウとして会ったのはは冒険者ギルドとかだよね。
さすがに信じてもらえないのでは?
「そうだったのか。ししょー、助太刀感謝します。」
信じちゃったよ。
「苦しゅうないくま。とにかく今は、やつをたおすくま。」
「褒美はわかってるくまね?」
ヒソヒソ、勇者くんとやりとりするくまごろう、もといくまたん。
「女王様と…王国への旅についてくる権利くま。安いもんくま?」
なんかよく聞こえないけど…。裏取引?裏取引なの?
いや、ちょくちょく私の名前出てない?勝手に私売らないでもらえる?
「いや、どうせついてくるくまだからたいして変わらないくま。」
今度は私に対してひそひそ声でしゃべるくまたん。
なるほど、それも一理ありだ。
ってまって、全然よくないんだけど…。
だって、こないだは道中別れたけど、今度は少なくとも王都につくまではずっと一緒。
男女の中で何も起こらないとは限らないじゃん。
「心得た。ここは俺に任せろ。勇者の本気ってやつを見せてやる。」
「えっと?勇者くん?」
「女王様、必ずや。打ち勝って見せます。あなたとの逢瀬のために‼」
「いや、逢瀬じゃなくて私との旅路なんだけど。」
「そうとも言います。」
いや、言わないけど。
そうなるともはや、別に勝ってもらわなくてもいいような気もしてきたな。
いやダメか。
その前にお城半壊するわ。こんなあほみたいに分裂する怪物に埋もれて。
となると勇者くんとの旅路、勇者くんによれば逢瀬はほぼ強制?
「さあいつでもかかってくるがいい。この化け物‼」
元気を取り戻し、ワームに向け剣を構える勇者くん。
「この勇者が相手だ。」
きれいな輝きを放つ剣の剣先。
それを複雑な感じで見守る私。
うーん勝ってほしくないような…複雑な心境。
「キシャァァァア。」
それを知ってか知らずか、毒液を弾き飛ばすワーム。
カーペットを溶かすジュっという音が響く。
「くっ。」
毒液で剣先がこぼれてしまう剣。
「このままでは。女王様との逢瀬が…。」
いや、気にしてるのそっち?
そもそも逢瀬じゃないし、目の前の戦いに集中しなさいよ。
「勇者これを使うくま。」
そこに助太刀するくまたん。
「松脂をたっぷりしみこませた松明くま。」
珍しくまともなことを言うくまたん。
「再生する前に炎で傷口塞いでやるくまっ。」
「ししょー、心得た。行くぞ化け物っ。覚悟しろっ。」
「キシャアアアア。」
ワームの毒液攻撃を体をひねりかわす勇者くん。
「これでもくらうがいい。」
「松明で極限まで熱した剣だ。」
スパーンと胴体を跳ね、華麗に着地する勇者くん。
一方のワームは切られたまま再生せず、地面をのたうちまわる。
うん、気持ち悪い。
「勇者くん。早いとこやっちゃって。」
「言われなくとも…。」
「コレでとどめだ。」
ワームを縦に割くように両断する勇者くん。
カキン。
剣が硬いものにあたる音。
ワームの中から出てきたもの、それはコア。
丸く茶色い魔力の塊のようなモノ。
「あれが再生能力の動力源くまっ。」
「はあああああああああああっ。」
宝石のようにも見えるそれを、ものすごい力で叩き割る勇者くん。
と同時に聞こえる断末魔の魔物の叫び声。
魔物が消えていくのと同時にカーペットについたシミも消えていく。
「これで一件落着なのかな?」
☆☆☆
突然変異種 シャドウワーム
…ワームの突然変異種。再生を繰り返すことによってほぼ不滅の肉体を持つ。また、泥のような形態を持ち。姿を自在に変える。人間の足跡に擬態することが多いとされている。弱点は炎による攻撃。ドロップアイテムは芋虫の肉、釣り餌にどうぞ。




