15 勇者くんの害虫退治 ~殺虫スプレーなんて便利なアイテムはありません~
「ココですか?」
勇者くんを例の廊下へあんなにする私。
「見たところ何も…。」
廊下には壁にぽっかりと開いた穴と吹き飛ばされたドアの残骸が残るだけ。
他には何もいな…。
「これ、俺の部屋にいたやつと同じ個体か?」
カーペットの上にもぞもぞしたモザイク入りを認める勇者くん。
「気を付けて。ソイツ。」
勇者くんの前で集まりだすワーム。
剣の柄に手を当て構えに入る勇者くん。
「強いわよ。」
☆☆☆
あらゆるドアの隙間や配管の中から現れ、私が見たときと同じく集合して巨大化するワーム。
「やはり魔物の類だったか…。」
「受けて立つ。」
剣を抜きその剣先をワームへと向ける。
「はあああっ。」
勇者くんの渾身の一撃。
「やったか?」
変な汁が飛び、真ん中で真っ二つに割れるワーム。
リリアの時はくっついたけど、今度はそうはいかなさそう。
だけど…。
切れた体は脈動し、不気味な液を吹き出し続けている。
そして奴は再生能力もち。
「勇者くん、構えて。」
真っ二つの部分それぞれが不気味な液を吹き出し、あらたな頭を形成し、襲い来る。
再生し、そこからまた再生するワーム。
「キシャァァァア。」
気味の悪い咆哮。
「二匹に増えただと‼そんな魔物聞いたことがない…。」
「俺だけで対処できるのか…?」
小さな声でそうつぶやく勇者くん。
いつもは戦士と聖女のいる勇者パーティ。
でも、今日は勇者くん一人だけ。
圧倒的な人数不足、火力不足。
それに一匹が二つにってことは…。
もし、次切れば四つに。
その次切れば八つに。
ビスケットみたいに増えていく方式だとしたら…。
たぶん。こちらに勝ち目などない。
「くっ。こんな時にあのピコピコハンマーがあれば…。」
わけわかんないこと言いだす勇者くん。
え?あなた剣キャラじゃないの?
確かに勇者パーティにハンマー使いはいなそうだったけれど…。
でも勇者ってやっぱ剣だよ。
そのアイデンティティに揺るぎなしだよ。
「いでよ。ピコピコハンマー。」
「???ほんとに何してるの?」
「あっ女王様、これは魔法のハンマーの詠唱魔法です。」
「???????」
「くっ。やはりだめか。やはり聖女の言う通り、トイレの荷物棚に…。しかしあの時は突然現れたような気が…。」
「うろたえてる場合かくま?」
背後から突如聞こえるくまたんいや、くまごろーの声。
「武器がなければ何もできない勇者に育てた覚えはないくまよ…。」
「いまこそ、特訓の成果を見せてやるくまっ。」




