10 厨房裏のごみ箱事件簿
「勇者よ。ちょっとお使い頼まれてくれるかしら?」
「はぁ。」
「実は隣の国の女王を祝勝会に招待しようと思っているのだけど、道中の案内を頼みたいの。聖女はほらエリス伯爵領の方たちも来る茶会の準備があるし戦士は何かよくわからないけど、何かの大会に出場するとかしないとかで今連絡取れないのよね。というわけで、勇者くんに白羽の矢が立ったってわけ。」
「おねがいできるかしら。」
「もちろんです。」
☆☆☆
ミネルヴァ女王からもらったチャンス生かさぬ手はない。
しかし、こないだ竜王の討伐に行ったとき立ち寄ったばっかだよな。
あんまり頻繁に行くとうざがられるのでは?
勇者の胸の中にのこる一抹の不安。
ああ、城についてしまった。
白亜のように純白で美しい、緑の木々の間に見える城。
おそらく女王様の部屋はかつて見た、あのバルコニーの奥だろう。
こないだ来たばかりということもあり、門扉は顔パス。
しかし、城の兵に聞くと…。
「え?女王様ですか?お部屋にはいないみたいですけど…?お食事中かもしれませんね。」
「そうか。厨房だな。わかった。」
「厨房…。確かこの辺だったよな。」
2回目なので大概の場所は想像がつく、銀色のごみ箱がいくつか並ぶ場所。
その上には窓。
おそらくここが厨房の外壁だろう。
「ちょっと覗いてみるか。」
ゴミ箱の蓋の上に足をかけ、よじ登る。
じゅっじゅ―と何かを焼く香ばしい匂い。
よく見ると。何かの肉?を焼いているように見えた。
あの形は鶏肉ではないな。
では?何かの魔物の肉?
まさかあれは。隣国で売っていた高級肉なのでは?
窓におでこをくっつけじろじろ見る勇者。
「ね、あれ、不審者じゃない?」
ひそひそと厨房の中で相談が始まる。
「とりあえず、フライパンでたたいてみる?」
シェフの一撃が勇者くんのおでこにクリティカルヒット。
勇者は気絶した。
勇者は幸か不幸か、野菜くずの入ったごみ箱の中へINした。
新たな実績が解放されました。
不名誉な称号:ゴミ箱IN
☆☆☆
「今日の献立どうしましょう。」
そんななこと考えながら、城の裏手にあるゴミ箱に向かうフリン。
ゴミ箱の影から台座を取り出し、前に置くと、その上に登り、ごみ箱の蓋を外す。
「虫が湧いてないとよいのだけれど。」
そういって野菜くずを捨てるフリン。
「ん?こんなにゴミ、多いっけ?昨日が回収日だったはっず…ですよね。」
よく見ると、なんかすごいでかいゴミ。
転がしてみると。
「頭にでっかいワカメ乗せた勇者様⁉ソンナバナナ。」
「え?誰に捨てられたんですか?」
まさか自分から入った?
だったら変態ですね。
ぺしぺし叩いても起きないし…。
「死んでる?」
「このまま、ごみでだしていいのかなぁ?(いいわけない)」
☆☆☆
「捨てるなら生ごみだろうか、それとも粗大ごみ?」




