48 産んだ覚えはないですけど、とりあえず、娘ができました
そしてついにつきましたマイキャッスル。
赤い屋根を持つ白亜の城がまぶしい。
旅に出た時と変わったことと言えば、勇者パーティはいったん国へ帰ったこと。
それと。弟子が増えたこと。
後はレベルが上がったこと。
そしてうちの城で…。
☆☆☆
「姉さま。案内してくださりまし。」
「すごく広いお城ですわね?」
「わたくしの部屋はどこですの?」
いま、竜王(弟子)の案内してます。
ちなみに竜王の部屋はいちおう、ゲストルームがいくつかあるから、とりあえずはそこのつもりなんだけど。
「ここが厨房で…。」
「なんで真ん中に木が生えてるんですの?」
私もそう思う。
「ここは獣人区画。くまたんがいるのはこっちの区画。」
「え?あの着ぐるみ。獣人だったんですの?理解が追い付きませんの。」
まぁ、そう思うよね。
「姉さま、この生き物は何ですの?わたくしとそっくりですわよ。」
廊下で遭遇した鏡よろしく竜王の姿をまねるスライムを見て、そうつぶやく竜王。
「ねえさま、この生き物はなんですの?わたくしとそっくりですわよっ」
そして、それを完コピするスライム。
「不思議なのじゃ。」
「ふしぎなのじゃっ。」
竜王がポーズを変えればそれに合わせて動きを変えるスライム。
「というか声までマネできるようになったの?」
スライムの方が声高めだけど。
ほぼ完ぺき。
「前まではできなかったよね?」
「特訓の成果ネ‼」
今度はラウネに変身するスライム。
そして次は私の姿に。
「姉さまが二人?」
「私が本物よ。」
「わたしがほんものよっ。」
「変身も上達してるし、もしかしてレベル上がった?」
コクコクと頷いて見せる私の分身。
「どっちが天使様なのか見まごうレベルですね。」
「アホ毛があるかないかくらいくまね。」
うんうんと頷くくまたん。
ホントだ。
確かにアホ毛がついてる。
「でもそれ、全然わからないレベルですね。毎日寝ぐせのつく場所だって違うでしょうし…。」
「となると、名前を付ける必要があるか。」
だってもう、スライムじゃ、もはや、呼びにくいし…。
変身してたらもはやだれかわからないしね。
「スライムだから…。」
「ゼリー。なんてどうでしょう。」
リリアからの提案。
「それ。ちょっと安直すぎない?」
「そうでしょうか。」
「というか、ゼリーと聞いて、真っ先に思い浮かぶのはあの紫色のゼリー、そして口元をべたべたに汚した勇者の顔なんだよね。」
「ああ、それは確かにないですね。」
ってあんたは出てこんでいい。
私のイマジナリー空間から聖女に勇者を追放させる。
イマジナリー空間の中でも聖女に引きずられていく勇者。
で、ゼリーだとそれが私の頭の中に横切るからもうちょいひねりたい…。
種族名はホーリープリンセススライム。
ホーリーって種族名につくくらいだから…。
神聖なイメージ。天使っぽい名前がいいよね。
「決めた。あなたの名前はスライムのゼルエルよ。」
ピロん。頭の中で響く効果音。
ホーリープリンセススライムがネームドモンスタ―になりました。
ホーリープリンセススライムは変化していない状態でも通常の会話ができるようになりました。
「わたくしはフェーナよろしくですわ。」
ドレスを折りたたみ、屈んで、手を差し出す竜王。
「ふぇーな。よろしくなのっ。」
ぷるぷる。なみうつスライムの体から半透明の腕?触手を出し、挨拶する。
「まま。あそんで。」
そして私の方を向いて言葉を発するゼルエル。
「まま?」
「っまま?」
思わず聞き返してしまう。
「姉さま子供がいたんですの?」
「ん?」
「ん⁉」
「まま、おなかすいた。」
今日もお城は大忙し…です。




