42 ゼリーまみれ ~知らない国の知らない食べ物食べちゃダメって言ったよね?忘れたなんて言わせません~
「このゼリーは何なのかしら?かすかに魔力の痕跡があるのだけど。」
と聖女。
目の前には件の紫色のゼリー。
ツンツンするとぷるんと揺れる。
「なんというか、食べ物っぽいわね。」
そう観察する聖女の隣で…。
「うん、うまいな…。」
すでにそれを口に運んでいる勇者たち。
いやっさっそく食べてるよ…。この人たち。
どうやったらそういう思考になるのだろう。
って言うか毒見とかせずに食べて大丈夫そ?
「俺はグレープ味だ。」
さっそく味の感想を言い合う戦士と勇者。
「これは…ナポリタン味か…。」
いやそんな味ないはずですけど。一種類ですけど。
紫のナポリタン味なんてあるわけないでしょ。
「味に違いがあるのか?」
「みたいだな。」
ふんふんと頷く戦士。
「じゃあ、こっちは…。んn?またグレープ味だ。」
そうでしょ。だって全部同じ味だもん。
「俺は…。海苔塩味だ。」
いや、戦士さん?そんな味ないから‼
それもう、ゼリー逸脱しちゃってるよ。
というかそれ絶対ポテチでしょ。
「ええー。戦士ばかり、いいなー。」
それをうらやまな視線で見つめる勇者くん。
というか…。
勇者パーティの戦士って…。
「味音痴なの?」
「味覚、バグってるくまね。」
「まあ、そんなんですよ。」
えへーって感じの聖女。
「落ちてるもの食うなって、拾い食いするなって言っても聞かないんですから。」
そういって頬を膨らませる聖女。
「また、変なもの食べてお腹こわしたらどうするつもりなのかしら。」
大層ご立腹な聖女。
「あいつら飛んだあほくまね?」
「いや、くまたんは人のこと言えないから。」
「くま?」
心当たりがありませんと言った感じで首をかしげるくまたん。
いや、かわいいな。
☆☆☆
「ところで、竜王は…。」
「みてわからない?」
「まさか、このゼリーが竜王だというのですか。なるほど。流石ですね。」
ゼリーを食べる手を止め言う勇者。
よく見ると紫のゼリーは竜の形をしている。
もちろん立って上から見ないとわからないのだけど。
「そう言われてみれば、強力な魔力量ね。竜王だとするなら納得がいくわね。」
聖女はゼリーを触りながらそうつぶやく。
「でも、その強力な竜王が今は勇者のおやつか…。」
ぷるんと揺れるゼリー。
「なんだかあっけないわね。」
「女王様、我々勇者パーティへのご協力ありがとうございました。我々は一度国に戻り国王様に竜王討伐の報告をしなければなりません…。ソレでは女王様、またお会いしましょう。今度は戦場ではなく…。」
「戦士、勇者を連れて帰るわよ。」
「ああ、いくぞ、勇者。」
「ええ…。」
おはなしの途中、なおかつ口にゼリーを咥えたまま、ズルズルと引きづられていく勇者。
「皆へのお土産にゼリー持って帰っていい?」
「ダメ、皆へのお土産って…。そういっていつも、全部食べちゃうじゃない。」
「私が研究用に少し持ち帰るけど…。」
「聖女様、恩に着ます‼」
「あげるなんて言ってないわよ‼」
なんかまた、言い争ってんな…。ソレに手を振ってあげる私。
「また、どこかで。」
ブッ、鼻から血を出す、戦士と勇者。
「?お疲れなのかな?」
ソレを見ていう私。
「んー、ちょっと違うと思うくまよ。」
「私もそう思います。こないだの壁ドンが悪いですねー…。」
「あれは、一回、やってみたかったの。」
逆壁ドン。
だって一回ぐらい皇子様ムーブしてみたいじゃない。
「で?まおーさま、竜王はどうするくま?」
床に寝そべったままの竜王をみてそう呟くくまたん。
勇者くんたちも盛大に勘違いしてるっぽっいけど。
「とりあえず、このままにはしておけないよねー。お城のベッドにでも運ぶ?」
☆☆☆
「ちょっと、得体のしれないゼリーなんて食べたらまた、倒れるかもしれないでしょ。どういうつもりなの?」
「…。」
「知らない国の知らない食べ物。食べちゃダメって言ったじゃない?女王様の前で糞尿まき散らしても知らないわよ?」
「聖女??なぜそれを?」
固まる勇者と戦士。
「気づかないとでも思った?知ってるに決まってるでしょ。」
「…。」
「戦士今日はもう帰ろう。」
「ああ、そうしよう。」
うなだれ帰り始める男性陣。
「さぁ、国王様へ報告よ‼」
元気なのは聖女だけ。
勇者パーティのリーダーが変わるときは…近い…のか…?




