38 あの日君と倒したミノタウロスは隠しダンジョンの宝物庫の場所を知らない。
「あれ?ここさっきも通ったよね?」
この穴、見覚えがある。
というかさっき壁を壊してここから出てきたはず…。
ツノを引っ掛けた後もあるし。
「我、もしかして迷ってる?」
さっきは右に進んだ。
今度は左に進んでみよう。
♢
「???」
「同じ場所だよね?」
夢だからなのかな?
左に曲がったはいいものの、また同じところに戻ってきてしまった。
どうしても出られない。
でも、夢だし、たぶん何回か繰り返せば…。起きるはずだし、なんとかはなるはず…。
次はもう一回右だ。
「あれれれれ?」
もう一回、同じところに戻ってきた…?
「アレ?こっちに道なんてあったけ?」
私がはい出してきた壁の正面、さっきはなかったところに道がある。
だってココは夢の世界。
私の頭の中だ。
多少の変化があってもおかしくはない。
だけど…。
道が変わる系の迷路はちょっとずるいと思う。
だって出口わかんないじゃん。
夢だし、壁が動いたりするのだろうか。
それこそ、スライムのように。
それにしてもなんかざらざらしてる。
さっきまでなかったトンネルの断面はなんかこうめっちゃざらざらしてる。
なんか手で掘ったみたいな感じだけど変なとこだけめっちゃリアルな私の夢。
スコップとかは出てこないくせに。
「ん?」
今度は二股に分かれる道。
そして…。
「あれ?ここさっき通ったはず…。」
また元の道へと戻った。
ただ、少し違うのはさっき通った道の真隣にまた、知らない道ができていること…。
常に変化を繰り返す迷宮、まさにダンジョン、果たしてここから出る方法などあるのだろうか。
もしかして、出口なんて最初からないのでは?
もしそうなら、道なき道を、壁を掘り進めば外に出れのではないだろうか。
壁を壊してあの紫一面の部屋からでてきたように。
とりあえず目の前の紫色の壁をかき分け前に進んでみる。
この壁思ったよりドロドロして気持ち悪いな…。
べとべとしていてなおかつ肌にくっつく。
質感はむしろひんやりして気持ちいぐらいではあるんだけど。
「しかもこれだんだん狭くなってない?」
「うう~。」
私のほっぺ押さないで。
「ぶぺっ。」
壁からの圧力で押し出される私。
今度はまた知らない通路。
一つ違うのは…遠くから謎の声が聞こえること…。
「ウギャギャギャ…。」
一体何を言ってるのかさっぱりわからないが、何かとてつもなく低い気味の悪い声。
迷路、ダンジョン、もしかしたら私の知らない何かがまだこの迷宮に潜んでいるのだろうか。
とんでもないものが潜んでいることに変わりはないだろう。
大方、上半身が牛の化け物ミノタウロスなのだろうけど。
「ウミャyッヤクm―。」
しかもだんだん近づいてきてるよねこれ…。
私、今日、厄日か何かなのだろうか?
侵入者にめっためたにされるし、お城は壊れるし(壊したのほぼ私だけど)、得体のしれない怪物(迷宮にはつきもの)に追いかけまわされるし…。
「なんなのよ―。」
狭くなっていくトンネルをかき分け進んでいく私。
背後からはずっとあのうめき声のような音が断続的に続いている。
「ゴォrメtyアウギャクmkm」
意味の分からない文字の羅列。
何かの意味はあるのだろうけど。
自信の縄張りに侵入したことに対する威嚇か、あるいは警戒か。
振り返れはしないけど、たぶん、怪物もかなりの速度で動いていることは間違いない。
必死で羽を羽ばたかせ、奴から逃げる。
しばらくして、あの耳障りな鳴き音が消えた。
「やっとまけたわね。」
息を整え一安心する私。
「さて気を取り直して出口を…。」
と思ったら…ん?なんか気配感じるんだけど…。
「いや…。」
「まさかね…。」
そう思い後ろを振り向く私なのだった。




