34 数百年ぶりに陽の目を見た最終兵器ですが…。あいにく、説明書はついておりません。
「ドラゴンゾンビを。」
ボコボコ。
竜王の言葉とともに竜王の足元のヘドロが、泡立ち、徐々に集まり、竜の形を形成する。
ま、そうなるよね
なんとなくはそうだと思ってました。
「ギュアアァァァアァアlr」
鳴り響く咆哮。
竜が動くたび、吠えるたびに毒液が溶け落ち、地面を焦がす。
地面に落ちるとジュワッと音を立てる毒液…。
たぶんだけど…盗賊団の矢とは比べ物にならないくらい強い毒…。
あんなの当たったらひとたまりもないし、たぶん骨まで溶ける。
「手加減とはいったい。」
「はっは、は。我が国の最終兵器の威力とくと味わうがいい。」
「あれ…。」「ん?」「ココだったかな?」「いや、左か。」
といってから聞こえてくる竜王のひそひそ話。
もしかして…。操作方法分からない系?
「だったら、チャンスなんだけど…。」
「天使様。なんか口が開きましたよ。」
ほんとだ。紫の竜の口があんぐり開いている。
間違えて口開ける操作しちゃったとか?
そしたら上からハンマーでたたいてパニックしちゃえばいいわけなんだけど…。
「その根性叩き直してやるくまっ。」
「ん…?」
なんだか口元に光が集まって…。
「もしかして…これ…。」
怪獣映画でよくあるやつ?
ハンマーで口綴じさせてる場合じゃない。
「みんな伏せて‼‼‼‼」
そして、紫色の竜の口元から放たれる怪獣映画さながらのレーザー光線。
「ちょっと、それありなんですか?」
「ははっ。さすがは我が国最強兵器じゃの。」
さっきまでいたその辺の城壁や建物を熱線でスパンと切り裂いていく。
断面からは熱い熱と煙。
「こんなのに当たったら…。」
「跡形も残りませんね…。」
崩れた城壁に、開け放たれた門扉。
壊された城壁からはリザードマンの兵士たちが顔をのぞかせる。
でも追ってはこなさそう、だって足ガクブルだもん。
「隊長、あんなの聞いてないっす。うんこもれそうなので失礼します‼」
「俺も‼」
「こっちにがれきが降ってくるぞ‼」
「全軍退避―。」
上空から落下する城壁の岩から逃げるようにモップを捨て散り散りに逃げていくリザードマンたち。
「ぐがああああー。」
兵士たちの退避を見計らったかのように再び放たれるレーザー光線。
「もう手加減は不要じゃな。」
今度は大きな尖塔をまっぷたつに。
まさに最強生物。いや生物なのかは怪しいけれど…。
見た限り、唯一の弱点はろくに動けないこと。
たぶん動いたらその体が溶け落ちる。
さっきから咆哮や光線を放つたびに、口元から、紫色の毒液が地面へと垂れている。
「はっ。何のこれしきです。」
落ちてきた尖塔を両断するリリア。あたりに立ち込める土煙。
このすきに…。できるかどうか分からないけど、考えていた技を発動させる私。
「だんしゃーりー☆ピュフリケーション マキシマリスト」
だんしゃーりー☆ピュフリケーションの応用型。要らないものは断捨離、空いたスペースに必要なものをお取り寄せ。これにはお片付けできない系魔女もびっくり。
この魔法は使用者の練度によって差異の出る上級魔法です。
本当に使用しますか?
はい/いいえ
それはもちろんはい。
あっという間に真っ白になる視界。
山積みのがれきは消えてなくなり。あたりにはしんしんと雪まで降り出す始末。
「ぐえっ?」
「うぎっ。」
ツルツルの氷の上で転倒するリザードマン兵士の間抜けな声。
「ぐがああああー。」
竜の口に集まりだす光線。
「そうはさせません。こっちですよ。」
リリアがドラゴンの気をそらす。
「いや、こっちくま。ほら、ドラゴンの好物の鮭くま。」
どこからか、新巻鮭を取り出すくまたん。いやでもそれ、ドラゴンたぶん食べない。
でも、注意は引けてる。
「ぐがっ。」
行先を失った光線が竜の口元で爆発を起こし、紫の毒液がしたたたり落ち、動きが鈍きなるドラゴン。
「ぐぎっ?」
そして杖を構えもうひとつの魔法を放つ。
「ピュフリケーション。」
極大魔法「カタルシス+」を使用します。
極大魔法を使用しますか?
はい/いいえ
極大魔法「カタルシス」を使用します。
この魔法は地形変化、爆発、大気汚染などの副作用が生じる場合があります。
それでも使用しますか?
はい/いいえ
もちろん、はい。
ドラゴンに向かって一直線に放たれる極太ビィーム。
真っ白に染まる視界。
しかしドラゴンは相も変わらずそこに鎮座ましたまま。
「ええぃ。出会え出会え。」
「ぐがあああああ。」
まだ、煙を上げているドラゴンの口元から再び放たれるドラゴンの光線。
周囲の尖塔や城壁を焼き尽くす光線。
「あれ?もしかして効いてない?」
ドラゴン“ゾンビ”って名前だし、浄化されそうなものだけど。




