24 城内アスレチックコースとか気がめいりそうですね。普段使いは最悪です。
路地裏の建物の影から状況を探る。
目の前にはドラゴンの像が鎮座する城の大きな門。
たぶんココが目的地。
外から見えた赤い屋根のRPG風の建物。
松明が煌々と灯り、まさにラスボス一歩手前の雰囲気。
「まさか、中身はアスレチックコースだったりしないよね?」
マグマの池に、動く床、動く階段、そして上から落ちてくる落石。
「それだと、城内、自由に歩けないのでは?」
リリアからの冷静なツッコミ。
「そんなこと考えたことなかった。」
ゲームや、漫画のラスボスたちはトイレすらすることもできず、主人公たちにおびえて仕掛けまくった仕掛けにより、ほぼ軟禁状態ということか。
「おそらく、城内は天使様のお城とほとんど構造的には同じだと思いますよ。ですので、敵は広間とか、闘技場とか庭園とかそういうところに配置されている可能性が高いですね。」
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「ったく暇だなぁ。」
そういってあくびをするリザードマン。
物陰からのぞくに門番は斧と持ったリザードマンの大柄な筋骨隆々の兵士が2人。
あくびしてるってことはふだんあんまり、仕事ないのかな。
「ま、この都市の防備が完璧すぎて、誰もこねぇからな。」
そういってひらひら飛ぶ蝶を目で追うリザードマンの兵士。
舌を伸ばして…。
あっ食った。
「げぷ。」
そしてこれまた立派なゲップ。
「おい、あんまり、遊んでると、いざってときに…むにゃむにゃ…。ちょっと寝るか。」
問題はどうどうと正面から突破するのか、それとも…。中にこっそり潜入するのか。
「なんか、門番たち、ほっといても寝そうな感じですね…。もう一人はムシ食ってますし…。」
「うん。このまま、寝るのを待って…。」
確かにお尻ぼりぼりかいてあくびして。
ムシが来たら、反応して舌を伸ばす。
この繰り返し。
寝てる隙にさささっと変装用マントかぶって移動するのが一番よさそうではある。
「大丈夫なのかな。この国の門番。」
「ずいぶんと平和ボケしてますね?」
「うちの国は大丈夫だよね?」
「…。」
「そこはちゃんと反応してよ。リリア。」
「いえ、立ったまま片目だけ寝てるのはよくあることですので。」
「…。」
「むしろそれはすごいけど…。うちの国の騎士、イルカか何かなの?」
☆☆☆
変装用のマントとスライムの分体を取り出していると…。
「敵発見くまっ。くまくまぱーーーんち。」
「ん?」
なにやらどこかで聞いたことのある声。
よく見ると私とリリアの間にいたはずのくまたんがいない。
「いつの間に?」
「いやさっきまでいたはずなんですが…。」
いない。
「ってことは…だよ。」
「そうなりますね。」
そっーと、また物陰から身を乗り出してみる私たち。
♢
「はあ?あんだ?」
眠気はどこへ行ったのかもふもふの着ぐるみを一瞥するリザードマン兵士。
「やっぱりうちのくまだ。」
「一歩遅かったですね…。」
そうだ。一人、いや、一匹はあんまり空気読まないくまだった。
しかもちょっと好戦的なところがある。
いやくまだからしょうがないのか?
「しろくま…。」
頭を抱えてお悩み中のリリア。
大丈夫、なぜなら、私も頭抱えてるから。
今更、ごめんなさいそれうちのクマですって言っても…ダメだよね。
「ん…?」
くまたんをジロジロ見る兵士。
「しっぽがない。お前ドラゴンじゃ…ないな。」
しっぽがないのを見て警戒する兵士。
え?見るのそこなの?そんなモフモフした生き物ドラゴンにはいないでしょ。
というかしっぽあるなしの前にドラゴンじゃないってわかりそうだけど。
門番やってるくらいだし、ドラゴン以外を見たことないのだろうか。
「それになんというか。ふかふかしている。」
うん確かにそれはそう。
その毛結構、気持ちいんだよね。
「それにお前、お日様の匂いがするな。」
うんうん、洗い立てのぬいぐるみのにおいだよね。
変なワーム触ってたからちょっと匂うかもだけど…。
「以上を持って、お前はドラゴンではないと判断した。どうだ?すごいだろ?」
いや、何もすごくないんだけど…。
「どうみても、くまたんはくまたんくまっ。」
そして会話のかみ合わないくまたん。
「言葉が通じないだと…なるほど…さては外の国から来たな…。」
「そうくま。」
火に油を注ぐくまたん。
「あっ。こちら、アクス、Bブロックに侵入者だ。しかも外の国から来た連中だ。え?ああ、本人?本…がそう言ってるから間違いない。」
しかも、なんか魔法的なやつで通報されちゃったよ。
「え?人数?一匹だが…。それってそんなに重…。」
兵士がすべて伝え終わる前にくまたんのパンチが炸裂、兵士は勢いよく石の壁にめり込み気を失った。
「おい、どうなってやがる。」
もう一人の兵士が武器を取り、やってくる。
「あちゃー。こりゃダメだ。」
こそこそ潜入作戦、作戦失敗。
もう引けなくなりました残念。
後は勝負あるのみ‼
「いくしかないか。」
「もう、こうなったら、しょうがないですね。」
「ちっ。仲間がいたのか。ちょ、止まれ、ここから先は一歩も…。」
「やあ!!」
ガキン、槍とフライパンが交差する音。
「ほう、やりますね〜。」
「ふふんこのぐらいなんともないぜ。そんな武器でこの俺に勝とうとは嬢ちゃんたち甘いな…。」
「その割には余裕のなさそうな顔つきですね。」
リリアが兵士の赤い顔を見てそう呟く。それに対して冷や汗を流す兵士。
「隙だらけです。」
フライパンと剣を交差させたまま、蹴りを入れるリリア。
リリアの入れたキックによってぶっ飛ばされ先の兵士と同じように、壁にめり込んでいく。
「ぐはっ。」
口の中から生み出されたキラキラを噴水のように噴き出す兵士。
「気持ち悪い。」
「さあ、天使様とっとと片付けちゃいましょう。」
「まおーさま。扉は開けといたくまよ。」




