22 長靴でも魚でも頭足類でもなく、釣りあげたのは神様でした。
「え?どうみてもザリガニくまよ。お城のそばでいつも釣って食べるやつと一緒くま。」
「え?くまたんそんなことしてたの?」
「今度まおーさまにもおしえてあげるくま。」
「いや。結構です。」
くまたんお誘いを丁重にお断りする私。
そして手渡しの手のひらの上に乗ったザリガニを見つめる。
「どうみても、しろくまの言うようにただのザリガニにしか見えませんが…。」
リリアがちょんちょんすると、ハサミをチョキチョキと動かすザリガニ。
「なんというか勘ってやつ?」
そして見間違いだろうか。私の目にはゲームの画面のようなステータスの画面の吹き出しが見えていて…。
手のひらに載せたザリガニ。
そこにザリガニ(転移者)って書いてあるのですが…。
気のせいじゃないよね?
「ああ、こいつはわしのペットじゃ。なかなか賢いであろう?お手。お座り。ベンチプレス。」
器用にそれらを私の手の内ですべてやってのけるザリガニ。
「いや、もう言葉通じてるってレベルじゃないよ。そのザリどこで拾ったんです?」
「ああ、こいつか。ちょうどこの川に入る前、外海でであったのじゃ。大変賢くてな。初めて会ったとき、こやつハサミで器用にSOSと書かれた白旗をもち、振っておったのじゃ。意味は分からんかったがとりあえず、拾ってペットにしたのじゃ。」
それ、助けてって意味なのでは?というかザリガニ海にいないし。
「え?こっちでも海にいないよね?」
「海にいるザリガニ…?聞いたことありませんね。他の生物が魔法で姿を変えられているとしか考えられませんね。」
それに、妙に人間味を感じる。
「というか人なのでは?」
ザリガニもうんうん頷いてるように見える。
もしかして本当に私と同じ転生者?
あっ…転移だから転生とは微妙に違うのかな。
「確かに、なんらかの魔力の痕跡がありますね…。くわしい者に見てもらえば何かわかるかもしれませんね。」
ザリガニを見てそういうリリア。
「というかもし、天使様の言うように、人であるなら。我が国に連れ帰った方がいいのでは?もちろんしろくまのような輩は要警戒ですが…。」
確かに。
「そうしよう。戻るのは竜王を懲らしめてからになるけど。」
「ね、レヴィアタンさん、このザリガニさんうちの国で預かってもいい?なんか魔法がかかってそうだし。」
「リーヴァでいい。いいぞ、ちゃんと世話してやるのじゃ。そしてわしは神じゃ。おぬしが、心に思い浮かべ、願えば、必ずまた、あえるのじゃ。」
「ところで、おぬし、竜王を倒しに行くといったな。」
「気を付けていかれよ。この先には、強敵が待ち構えておろうぞ。では、時間じゃ、さらばじゃっ。」
「また釣られないでねー。」
そう手を振り、水泳選手よろしく水面に潜り込んでいったリーヴァに手を振る。
くまたんが釣ったのタイヤでも長靴でも魚でも頭足類でもなく、神様だったみたい。
「我々は神を釣り上げてバチはあたらんのでしょうか?」
そうリリアに聞かれる。
「わたしたち、釣りあげてないし、どっちかと言えばくまたんが…。」
「まおーさま、くまたんの釣り餌しらんくま?」
「ん?何にも知らないよ?」
「確かにここにあったはずくまなのに…。」
なるほど確かに山積みになっていたモザイクたちがきれいさっぱり消え失せている。
「たぶん、神隠しってやつじゃないかな?」
「レヴィアタンって魚だし、もしかしたら、釣られた対価に持って行ったのかもしれませんね?」
☆☆☆
「このワームうまいの。普段、海のものしか食べないから珍味でよいぞ。」
♢
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「しかしこことは違う世界では。むしは食べず。スイーツなるものや、バーガーといったものであふれているとか変わった世界もあるものじゃのう?」




