19 勇者たちの華麗なる旅路 第10章 ~旅のお供に石焼ビビンバはいかがですか~
ワイバーン生息地帯、通称、死の谷へと差し掛かる勇者たち。
「ん?なんだ?」
「ちょっと、急に止まらないでよ勇者。」
「しっ。何か聞こえる。」
先頭を行く勇者が隊列にストップをかける。
岩壁に背をつけ、耳を澄ます勇者。
♧
「なんだこれは‼どうなっている‼」
突如止まった隊列に声を上げる隊長と思われる大きな装甲をつけたリザードマン。
「止まっていては侵入者に追いつけぬぞ。」
隊列をかき分け前に進む。
すると先頭の兵士が目の前の谷にかかる吊り橋を見つめていた。
「何があった。」
「隊長、橋が…。」
だが…肝心の橋がない。かろうじてそこにあったことがわかる程度。
「ないので…。この先には進めませんね。」
「ん?みせてみろ。」
「あしあとが三つ。一つは獣、他は人間の足のように見える。」
「まだ、痕跡が新しいな。あの珍妙な魔法を使うやつの仲間かもしれん。探せ‼」
「はっ。」
「隊長‼」
「こんどはなんだ。」
「これを…。」
地面から拾い上げたそれを渡すリザード兵士。
「布?いや、違うな…。この辺りを根城にしている。盗賊団のモノか。なるほど確かにいつもは奴らがココで待ち構えて旅人を脅すのだったな…。ということはやられたのか。結構な手練れだと聞いていたが…。」
「隊長‼」
「こんどはなんだ。」
今度はおどおどした様子のリザード兵士。
「あの…。」
「なんだ?」
「すごく…。どうでもいいことかもしれませんが…。」
「早く聞かせろ。」
「そういえば、さっき、そこの崖に登ったら、向こうに人間の軍勢が見えました。」
「なんだと、全然どうでもよくないぞ。そうか、そいつらが橋を落としたってわけか。十中八九奴らの仕業だろう。橋を落とし、我々を挟み込むつもりだろうが、そうはさせんぞ。」
「副長、全員戦闘態勢に入るよう伝えろ‼奴らの本陣を叩く。」
「弓矢の準備をしておけ。奴らはドラゴンを喰らうという。すぐに戦闘態勢に入れ、石焼ビビンバにされたくなければな…。」
「はっ。」
♧
「勇者?」
「何か聞こえたか?」
岩壁から様子をうかがう勇者に尋ねる。
「こっちにワイバーンとリザードの大群が向かってくるみたいだ。」
「こっちの位置がバレてるってこと?」
「ああ、ここは谷だからな。上から見ればすぐにわかる。」
「でも、なんで私たちに向かってくるのかしら?」
「確かにまだ、何もしてないな。腹は下したが…。」
「いずれにせよ。俺たちだけでの対応は不可能だ。数が多すぎる。戦士、兵士たちに戦闘態勢に入るよう伝えろ。」
「わかった‼」
その場を離れる戦士。
「長い戦いになりそうだ。」
☆☆☆
「あれ…というか私たちこの国じゃここで戦うのがはじめて?」
「ああっ。そうだ。」
「そんな自信満々に言われても困るのだけど…。」




