16 勇者たちの華麗なる旅路 第8章 ~その肉、どんな肉、気になる肉~
「おっ屋台があるぞ…。」
近くに宿場町ありと書かれた木の看板を見つけ宿場町の入り口まで偵察に来た勇者たち。
もちろん彼らも、ローブを目深にかぶり、変装中である。
「ちょ、待ちなさい…って。」
聖女は止めるが勇者はもう目の前の屋台に夢中。
もちろん兵士たちは別のところで待機させている。
大人数での偵察はあまりよろしくないのだ。かえってリスクが高まるからである。
つまりは潜入調査という名目で訪れているのだ。
その目的は敵の戦力がこの街に滞在していないか。
と同時に物資の補給のためでもある。ただ、勇者隊は王国からかなりの物資を運搬してきているのでその心配はほぼ要らないのに等しい。
半分くらいおいしいものないのかなという志向もなくはないのだろう。
ただ聖女はあんまり興味なさげである。ローブの下に浮かぶのはあきれの表情。
「勇者はあんなもん買ってどうするのかしら。」
「聖女はいいのか?」
「いやだって、太りそうじゃない。あんなの。」
アブラギトギトのくしを買って嬉しそうにしている勇者を見ながら言う。
「それにちょっと緊張感なさすぎよ。ま、いつものことなんだけどね。頭の上に氷でも乗せてやろうかしら。」
腕を組み、不満を吐露する聖女。
「まあ、見たところ敵の兵士は見当たらないし、見張り小屋も空だ。警戒するに越したことはないが、しすぎることもない。」
戦士は街の入り口の両脇に立つ小屋を見てそう返す。
「ま、勇者もそういうところは案外見てたりするのよね。それにしてもこの街、店が全然ないわね。開いているのは露店と宿屋くらいかしら。」
「人、いや、竜の往来があまりないのかもしれんな。あるいは経済状況があまりよくないか。」
「おう、買ってきたぞ。」
聖女と戦士が難しい話をしていると勇者が串焼きを満足げに持ち戻ってきた。
「結構かかったじゃない。」
「種類が二種類あってな。」
「いやいや、二択じゃない?」
♢
「あれ、そういえば、お金どうしたのよ。あの女王様の国といっしょだったら使えるけど。」
「ああここはまた違うみたいだったぞ。だから物々交換してきた。」
「え?物々交換できるようなもの持ってたっけ?」
首をかしげる聖女。
「ああ、ギルドに買い取ってもらうつもりで強化ゴブリンの死体をマジックバックに入れておいたからな。3ドラコの串焼きと交換してもらったってわけさ。」
「よくそんな回収する暇あったわね?」
聖女は感心しつつあきれ顔でそう発言する。
「ああ、俺は勇者だからなっ。」
胸を張ってそういう勇者。
「でも、冒険者ギルドとかなら討伐料でって感じでだけど…、彼ら、もしかして食べたりするのかしらね?」
「さあな?でも知り合いの魔術師が実験用で欲しがってるみたいなこと言ってたから、食べたりはしないんじゃないか?ゴブリンとかまずいしな…。俺も食べたことあるがあれは二度と食べたくない。ま、今ではいい思い出だけどな。うんうまいっ。」
肉にかじりつきながら、そういう勇者。
「勇者がいうならそうなんでしょうね。」
それに対して笑う聖女なのだった。
「ああ、俺は勇者だからな。」
「いや、褒めてないけど…。」
「え?」




