15 勇者たちの華麗なる旅路 第7章 ~旅のお供にフローズンイチゴを添えて~
「はぁ。やっと国境ね。」
「ああ、それにしても、見事なまでに何もないな。」
黒い砂、ひび割れた地面。燃え盛るマグマ。
勇者たちは竜の血のように真っ赤な溶岩地帯、竜血池へと足を踏み入れていた。
「あっつ。」
マグマに手を伸ばし触る勇者。
「いや、あんたアホなの?勇者じゃなきゃ死んでるわよ。」
「いや、熱いかなーと思って。」
「じゃあ。入るなよ。」
突っ込む戦士。
「すまん、すまん。先走った。」
どういう先走りだよと思ったけど口に出すのをやめる一行。
「あ、勇者あんなところに橋があるわよ。」
マグマ地帯にかかる橋の下を貫くように走る氷の橋。
「ちゅでたい。」
今度は氷の橋に素足で乗る勇者。
もちろん誰も突っ込まない。
なぜなら場慣れしているからである。
「どうやら、魔法で作られた橋の様だ。」
「勇者?急に真面目口調になるのやめてくれない。」
「ああ、頭が冷えたからな。」
「まさか、その氷で?」
「ああ。」
「まさか、先ほどの行動も意味があったわけか。」
「ああ。」
目をそらしながら言う勇者。
「勇者、目それてるわよ。」
それにつっこみを入れる聖女。
あとでどうする?勇者の頭にいつも氷乗せとく?という謎の話し合いの場が持たれたのは言うまでもない。
「だが、気づいてるか…。」
「なによ。」
「この橋は間もなく崩壊する…。お前たちすぐに上の橋へ戻れ‼ここは危険だ。」
ガッガガッ勇者の言葉通り橋にクラックが入り始める。
上の橋へと戻る聖女と戦士。
「それ、先に言ってくれない?」
戦士が聖女の手をつかみ持ち上げる。
「勇者は?」
だが、勇者は氷の橋に立ったままその場を動かない。
「勇者‼」
「すまない。素足が氷の橋にくっついて身動きが取れないんだ。」
「…。」
沈黙する一同。
「これまでありが…。」
「とう…。」
☆☆☆
「…。アイツどうする?」
「助け出すに決まってるだろ?」
「はあー。手伝うわよ。」
☆☆☆
「しかし妙だな、俺たちはこの国の部外者でここは国境地帯。魔物が一匹もいないなんておかしいと思わないか?」
ピンピンした様子でそう尋ねる勇者。
「さっきまで、氷の中に片手だけ出して埋まってた人とは思えないわね。」
「ホントにな。で勇者。体の方は大丈夫なのか?」
「ああ、何ともない。ポーションも飲んだからな。それに俺には主人公補正ってやつがあるんだ。」
「???」
「で、勇者何の話だっけ?」
「おいおい人の話は最後まで聞いてくれ。つまり…。」
「なるほどね。それは確かに妙だわ。魔物が一匹もいないなんて。」
「あるいはどこかでまちぶせされているか?」
今度は戦士が口を開く。
「あるいは全部もう倒してしまったか?」
「それほどの強敵がこの国にはいるのかもしれないな。」
頷く戦士。
「だが、安心しろお前たちには俺がついてる‼」
そうこぶしを天へと突き上げる勇者。
またもや、沈黙する一同。
「不安しかないのだけれど…。」
♢
「あら、こんなところにも。」
聖女の靴が氷の残骸にあたる。
「いったいどんな、魔法を使えばこうなるのかしらね。」
氷の橋の残骸を見つめてそういう聖女。
「聖女にも知らない魔法があるのか。」
「そりゃ、あるわよ。だって聖女よ。魔法には魔法使いや魔女っていう別の職業があるのよ。もっとも、レアすぎてあんまり見かけないのよね。魔法使いがたくさん住む地域があると聞いたことがあるけれど…。確かそう…ちょっ聞いてる?勇者?」
そう、尋ねる聖女だったが、勇者はすでに別のことに夢中だった。
「矢だな。それも新しい。」
足元に落ちた氷の塊を拾い上げ、矢じりを取り出す勇者。
よく見れば氷の橋のあちこちにえぐれた跡や矢じりの後が見受けられる。
「統制の取れた集団…に見受けられるな…警戒を怠らずに先へ進もう。」
「で、何の話だっけ?」
「もういいわよっ。」
ぷすっとむくれる聖女なのだった。




