3 悲報、転生先は魔王でした
「ちょっとまった…。」
いま、魔王城って言ってなかった?
ってことはまおーさまって…。
もういちど、姿見をガン見する私。
いや、たしかにというかどう見ても、魔王のソレだ。
よく見たら角もあるし…。
あれ女神様、聞いてたお話と違いますよね?
私、スローライフ系をお願いしたはずなんですけど。
バイオレンス系やスプラッタ系は論外だし、というか魔王ってラスボス。
最後には勇者に倒されちゃう運命ですよね?
「って、めがみさまっー。聞いてたお話と違うじゃありませんかー。」
「女神さまー。聞こえますかー。少しお話が―。」
「聞いてますよね?」
「おーい。」
とログにメッセージが…。
(ごめん、今、彼とランチしてるの。また後でね♡)
バン。暴発する魔王城の机。
(ごめん、間違えちゃった。許してニャン。)
今度は霧散する魔王城の机。
「女神様?あとでゆっくりお話ししましょ?」
☆☆☆
「でねー。その新しくできたお店がねー。」
「ピコーん☆」
天界のカフェで軽快になる電子音。
「あらっ、なにかしらっ。」
「えっと…。」
スマートフォン型の端末を取り出しのぞき込む私(女神)。
ピこん。一件の新着メッセージがあります。
開封っと。
(女神様、お話が違いますっ…。)
あっリリィちゃんからだ。
あちゃー。やっぱり間違えちゃってたのね…。でも、いまもどしても…。
うーん、困りましたね…。
「何か大事な用かい?それならまた…日を変えて。」
「あっ待って、大丈夫だから。」
適当にメッセージを送信する私。
これでヨシっ。
あとで、埋め合わせでもしましょう。
とりあえず、能力値は全部二倍ね。
「それより、今度の日曜開いてたりするる?実はおすすめの恋愛映画があって…。」
うなずいてくれる彼。
「なら、日曜っ。またここで…。んんちゅ♡」
「ああっ。」
「愛してるわ♡」
☆☆☆
「…マイ♡ダーリン」
「何か言ったかい?」
「いいえ。なんでも♡」