4 スライム、トモダチ、エサジャナイ
あーおなかすいたここはどこだろう?
魔物の楽園を目指して故郷を旅立ったけど…。途中で魔女みたいな人にさらわれて。そのあと箱に入れられて。で、ここは…。魔物の楽園?どう見ても違うよね。聞いていたのは魔王の君臨する魔族のための魔族による魔族的統治。
でも、目の前にあるのは白亜の立派なお城。あれ?ボク、間違えて天界に来ちゃった?
そして、いつのまにやら人間の騎士にとり囲まれた。ちょっとまって、聞いてないよ人間がいるなんて。
スライムと言えば、魔物最弱、冒険者たちの良いボーナスなのだ。人間に囲まれたら死あるのみ‼
「うー‼」と声を出し威嚇するボク。戦っても負けちゃうけどしないよりはましのはず。
するとどこかへと連絡とる騎士たち。
え?殺さないの?いや、もしかしたら、誰か強いやつを呼んでるのでは?
とんでもなく、むっきむきのやつ。
”通称えいとぱっく”
なんでも、お腹が八つに割れているのだとか。なんと、恐ろしい。そんなやつにやられたら、ボクひとたまりもない。
「あっ女神様こちらです。」
そんなときに現れたのは白い真っ白な髪に大きな白い羽の女の人。いや、人じゃないコレは天使?なんで、地上に天使が?やはりボクは死んでしまったのか。
「うー?」
疑問の声を上げるボク。
すると、お腹がすいてるとでも思ったのか、オレンジ色のおいしそうな物をこちらに向ける。
なんだコレ?この辺の草よりうまいのだが…。
「ね、うちに来ない?」
そう、ボクを誘う女の人。
え?これ?毎日くれるの?
「うー?」
「そうね。城にはこの倍あるかもしれないわね。」
うーんなんか裏がありそうな気もするけど。その話乗った。
「うー。」
女の人の手にすっぽりと収まるボク。
しゅううううう。
ん?なんだこれ?なんか白くなってる?
スライムプリンセス→ホーリープリンセススライム
スライムはホーリープリンセススライムに進化した☆
え?え?なにこれ?
☆☆☆
というわけで、お部屋に鳥かごに入れてお持ちかえり。
ふんふふーん。
チョット私の仕事、楽になるのでは?今んとこバトルしかしてないのは気のせい。
と甘い期待も込めながら。部屋の扉を開く。
プリンセスベットが鎮座する真っ白な私の部屋。ただし壁は見事にそして床も吹き抜けな上に外壁の残骸が散らばる。
まずはこれを片付けなきゃだった。
あれ?でも私の使う浄化魔法だと、片づけるどころか、地形そのものを変えてしまう。超パワー系。お片付けにはもちろん向いてない。というわけで女神様お願いします。ちゃんとやってくれないと彼とのランチ情報リークしちゃいますからね♡と送信。
とすぐに返事。
「それは困るわね。」
「新たな魔法が解放されました。」
頭の中に響く声。
NEW だんしゃーりー☆ピュフリケーション
浄化魔法の派生型、お片付けできない系の魔女によってつくられた神魔法。その名の通り、片付けたい物を任意で一瞬で消し去ることができる。
ただし、片付けができない系いわゆるおべや○○が使うと、ただ、物が移動させられるだけであり、実際は片付けられていないので注意が必要。
なるほど、片づけ魔法ね。
ただ私、片づけ得意なタイプじゃないんだけど。
つかって大丈夫かな。
「えーいどうにでもなれー。」
「だんしゃーりー☆ピュフリケーション。」
この魔法は使用者の練度によって差異の出る上級魔法です。
本当に使用しますか?
はい/いいえ
それはもちろんはい。
あっという間に真っ白になる視界。
なんということでしょう。がれきは片づけられ、穴の開いた床も元通り。
鳥かごをきれいになったテーブルに置き、きれいになったベットに腰掛ける私。
やっぱお部屋はこうでなくちゃね。
きれいさっぱり元通り。
そして肝心のスライムにこう切り出す。
「ねぇ。」
☆☆☆
「ねぇ、あなたって人型にもなれるのよね?」
そう、不定形のスライムに切り出す。というかスライムに言語通じるんか?
「じゃあ、試しに、この甲冑になってみて。」
私は廊下に飾り付けられた高そうな銀色に輝く甲冑を指さす。
「うー。うー。」
体を揺すり、形を整えるスライム。
うにょーんと体を立てに伸ばし、甲冑の身長まで一気に伸びると。
白から銀色に七変化。
「おー。これでどう?いい感じ?」
目の前には同じ銀色の甲冑が二つ。
「すごいわね…。さすがスライム。」
う~んと考えた後。
パンと手を叩く。
呼んだネ?
普通にバルコニーから侵入してくるチャイナ服の少女。
まぁ、私が呼んだんだけど…。
ラウネちょっとそこに立っといてくれるこの子の能力試したいの。
「スライム、ネ。この辺りでは珍しいネ。ラウネの大好物ネ。」
じゅるり、ラウネの口から流れ落ちるよだれ。
「今度密輸ルート教えてほしいネ。」
「いや。お前には絶対教えん。」というか、食べる気満々じゃないですか。
そのうちお前うまそうだなとか言っちゃうやつですよこれは。
「白…。なんか苺大福みたいネ。」
いや…。苺大福この世界にあるんだ。
「あれ、ていうか白色だっけ?君?」
「うー。」
まいっか。
「で、次は少しレベルを上げてそこのチャイナ娘に変身してみて。」
スライムにそう伝える私。でなきゃ、目の前の元アルラウネちゃんにぱっくりされてまう。
うにゅ、うにゅと変形していくスライム。ラウネの着る赤いチャイナ服に合わせてか、赤くなり上に伸びてゆく。
「しかし不思議ね。体はこんな小さいのに…。」
「まるで豆苗みたいネ。」
「言い方w」
そんなこんなしてるうちに現れる二人目のラウネ。
「どう見てもそっくり。はっきり言って見分けなんかつかない。それぐらいすごい。」
「ということで質問です。スライムとは?」
まず口を開くのは向かって右のラウネ。
「大福みたいにふわふわでねちょねちょネ。そして、うまいネ。」
ゴクリ、ラウネのどが動く。
次は向かって左のラウネ。
「スライム、トモダチ、エサジャナイ。」
そっか声まではまねっこできないんだ。そして考え方も…。
「それにしても本物そっくりだわ。」
もしかして、一言もしゃべらなければ他人を欺くこともできるのかもしれない。
まぁ、万が一。マジ万事休すってときだけだけど…。




