22 晩餐会と犬食いの定義そして別れ
「はぁー、それにしても美しかった。白い真っ白な髪にサファイアみたいに真っ青な瞳に見るモノを浄化する真っ白なドレス。はあー。」
晩餐会の会場でそう述べる勇者。
「よく、ぶっ倒れなかったわね。あんたたち。」
それを隣でツッコミをいれる聖女。
隣では勇者と同じように恋煩いの戦士。
盛大にトマトスープのお皿の上へぶっ倒れる
「キュン死にしそう…。」
☆☆☆
「あんたたち、顔、拭きなさいよ?顔中ケチャップまみれよ。」
☆☆☆
「あいつらなにやってるくま?」
「人間界ではああやって食べ物食べるネ?獣人と一緒ネ。犬食いってやつネ。」
スーパー適当なことを言うラウネ。
「ラウネくわしいくまっ。早く、ドラゴン肉、こないかなーくまっ。」
そしてそれに同意するくまたん。くまたんはきゃっきゃうふふと皿の上でフォークとナイフをコンコンする。どうやら、もう待ちきれないみたい。
「いや、アレは突っ伏しているだけですね。なぜ突っ伏しているのかはわかりませんが…。」
そして冷静なリリア。
☆☆☆
「今宵は聖アルデバラン王国と、聖アストリア王国の国交が結ばれた、喜ばしい日である。さぁ乾杯。」
「乾杯‼︎」
リリアの掛け声とともにカチンと澄んだグラスの音が鳴り響く。
「こちら、ドラゴンの丸焼き〜ベリーソースを添えて〜にございます。」
ガヤガヤ。響くのは食器の音と元魔族と勇者の会話。
会場にはたくさんのフリンたちによってどデカいドラゴンの丸焼きが持ち込まれ、たくさんのフリンたちによって分けられる。
「ご兄弟ですか?」
「いいえ。」
「では、ご家族?」
「いいえ。」
「???」
コレでよかったのかなとは思うけど。
人間と、元魔族が仲良くして、コレでいいんじゃないかと思う。コレで、勇者から討伐される心配もなくなったし、私の夢見るスローライフ生活にも、一歩近づいた。
みんな楽しそうだし。
コレはコレでアリなのでは?
☆☆☆
「ちょっ、くまたん、犬食いはやめてね?」
「くまたん、犬じゃなくてクマだから熊食いくまっ。」
「えっ、そういう問題?」
☆☆☆
翌日。
勇者一行とも、お別れのとき。
聖女から?そそくさと私に小声でなにか話しかけにくる。
「女王様、それと一つお願いがあのバカ勇者のこと、まともに相手にしなくていいですから。」
「???」
チョットよくわからない?
「では、また会う日まで。」
「ええ、ええ、ごきげんよう。」
そうこうしている間に城門をくぐり、去って行く勇者一行。
そしてしばらくして聞こえてくるすすり泣く声。
「えーん。」とか「あー。」とか。
「あの人たち、大丈夫なんだろうか?」
情緒不安定?
「なんというか、嵐のような日々だったな~。」
「そうくま?勇者たちのもとでくまごろう名乗るのも、なかなか、楽しかったくまっ。」
「しろくまっ。天使様に迷惑かけてないでしょうね?」
「なんだくま?やる気かくま?」
「望むところよ。」
「まぁ、まぁ、二人とも落ち着くネ。」
いつものようにバチバチしだす二人、それを止めるラウネ。
まるで嵐のような日々だったとそう思う私なのでした。
☆☆☆
それから幾日か後の早朝。
ピヨピヨ。
窓辺で鳴く見覚えのある一羽の鳥。
また、勇者からだろうか。
えっとなになに。
新しい、いや、めんどうくさい出来事が続く…そんな予感がする私なのだった。




