18 ドラゴン肉?あのそれ生ですけど。え?食べるんですか?
「君たち実力はあるくまよね?」
頷く勇者たち。
「…ちょどいつものパーティがあつまらなくて困ってたくま。ならランクなんて関係ないくま。ちょっと付き合ってもらうくま。」
☆☆☆
「この辺の依頼でいいクマよね?」
依頼ボードを眺めると…。
紙をボードから外す。
依頼内容は…。
料理バトルに使うドラゴン肉一年分が集まらないので、追加の討伐を求めます。
余った肉は食べても構いません。一体につき金貨200枚
城主
「ちょうど、頼まれてたやつくまっ。」
☆☆☆
「君たちは後衛、前衛とかあるくま?」
「俺たちは基本、剣、聖女が後方支援系だなっ。」
「ええっ。」
「なるほどくまっ。じゃあ、前はたのんだくま?」
「そういえばまだ、お名前を聞いていませんでしたね?」
聖女が尋ねる。
その問いに少し間をおいてから答えるSランク冒険者。
「くまごろうくま。」
「この辺りで、二刀流の使い手としてその名を知らないものはいないくまっ。頼りにするくまっ。」
くまごろうと呼ばれた冒険者はシャキンと剣を抜いて見せる。
☆☆☆
二刀流(きぐるみ&生身)
「え?剣?」
「この腰につけてあるやつくまっ?」
「え?」
「これ飾りくまよ?」
「村のジャンク屋さんで銅貨一枚だったくま。」
「え?なんてやつかくま?」
「確か、名前はなまくら剣…だったくま。」
「安いよ、安いよー。」
「なんと今なら、なまくら剣がたったの銅貨1枚。」
「そこのきれーなおねーさん、どうだい?今ならたったの銅貨一枚だよ?」
「買いくま‼」
「まいど‼」
☆☆☆
ここは木漏れ日の溢れる森林エリア。
時に危険な魔物も現れる、魔物にとっても過ごしやすいエリア。
足元には木の実がたくさん落ちている。
そして、それを踏む一行が全部で4人。
ひとりは剣士、ひとりは重戦士、ひとりは聖女、一人はくま。
時に木の実や小枝を踏む、パキッという音を鳴らしながら、前に進む。
時に相手を探り、時に魔物に警戒しながら…。
「普段はどんな依頼をこなすくまっ?」
「基本的にはゴブリンやゾンビが多いなっ。たまにオークキングやゴブリンキングを倒すこともある。まぁ、そんな強敵、めったに出てこないんだが…。」
そう答える勇者。
「特にオークは最悪だわ。特にあのきもい目線。」
「それにはくまごろうも完全同意くまっ。あいつらきもすぎくま。でも、安心するくま。この国にはもういないくまっ。」
「そうなのか?オークやゴブリンのいない国があるなんて。俺たちも民のため、一刻も早くあいつらを叩き潰さないと…。」
「国に帰ったらすぐに討伐隊を結成しましょう。奴らの集落の周りでは夜も眠れないと聞くわ。」
「それとあれだよな。たまに、国王様からの依頼を受ける感じだよなー。今回の魔王討伐の旅もそうだけどさ。」
「まぁ、そんな状況、滅多にないからね。お給金割と少な目だし。」
「基本的にはギルドの依頼をこなす感じだよな。」
「それ以外は割とぼーっとしてるかも…ね。それぞれ、仕事もあるし…。」
「うおっ。」
突如歩みを止める一行。
「どうかしました?」
先頭を行く勇者が足を止め、周囲の状況を探る。
「シッ。なにか聞こえる。」
カサカサ、ガサガサ揺れ動く草の茂み。
「来るぞ…。」
そして現れる大きな緑色の魔物。
「あれは…。」
「うそでしょ…。」
「ギガマンティス。災厄級の魔物だ。」
☆☆☆
「キエエ。」
その口を開けて、威嚇する魔物。
「全員、戦闘配置につけ‼来るぞっ。」
「はあああああっ。」
カキンカキン。
鎌と剣がかち合う音。
「くっ、強い。」
跳ね返ってくる斧の重みに耐える戦士。
「これでもくらえっ。」
跳躍した勇者による上からの攻撃。
あたりに飛び散る緑の血。
「今だ。」
「風よ。巻き起これ、ウィンドカッター。」
聖女の手から放たれる緑色の光の破片。
それを防御しようと鎌を上げる魔物。
しかし、それを許す勇者パーティではない。再び空の上から、防御姿勢の取れないカマキリの化け物の体に大きく切り込みが刻み込まれる。そして…。
「キィエエエエエ。」
魔物は断末魔の叫び声をあげると、体から緑の血を吹き出し、爆散した。
そして、あとに残ったのは魔物が浄化されたことを指し示す光り輝く細やかな光の粒。
「討伐完了‼」
☆☆☆
「やったわね。」
「はぁ、なかなかの強敵だったな。」
「ああ、だが、俺たちのチームワークはヤツの上を行った。」
「はやいとこ…。宿屋に帰りましょ。汗かいちゃったわ…。」
早々に帰るつもりの勇者パーティ。
「まだ目的は果たしてないくまよ。」
「え?くまごろうさんのとったクエストって?」
ガツン。
ガツン、ガツン。
大きく揺れる地面。
「なに?」「なんだ?」
「クマゴロウさんこれはいったい?」
「まだ、討伐完了してないくまよ?」
ガツン、ガツン、ガツン。
「これからが本番くまっ。」
ガツン、ガツン、ガツン、ガツン。
「お前たちの本気を見せてみるくま♡」
「グワァアアア。」
「なんだ…こいつ…。」
「でかい…。」
勇者たちを見下ろすように立つ大きな青黒い竜。
竜は口を大きく開け、羽を羽ばたかせ威嚇してくる。
「ワイバーンくま。血の匂いに引き寄せられてやってきたくまね。」
「グワァアアア。」
「来るくまよ。構えるくま。」
☆☆☆
「ちょ、こんなの聞いてないんだけど…。」
ワイバーンから繰り出されるかぎ爪攻撃。
「身を守れ、プロテクション。」
「強い…耐えきれないかも…。」
徐々に割れていく、聖女のバリア。
「行って。」
「乗れ‼」
「はぁあー。」
かぎづめ攻撃をかわし、戦士の剣を踏み台にして、高く跳躍する勇者。その目的はワイバーンの首根っこ。
「これでもくらいあがれ‼」
「グワァアアアアア。」
突如光るワイバーンの目。
「避けるくま。丸焦げになるくまっ。」
「まさかっ。」
剣を振り下ろすのをやめ、そのまま、地面に片膝で着地する勇者。
そして…。
「グワァアアアアア。」
ワイバーンの口から吐き出される灼熱の炎。先ほどまで勇者のいた場所はひとたまりもない。木々の頂点を焦がし、あたりを茜色に染める。
息を整える勇者。あたりに舞い落ちる火のついた葉。
「もう一度だ。」
「おうっ。」
今度は振り下ろされたかぎ爪を足掛かりにして、ワイバーンの腕を登っていく。その間かぎ爪を大剣で押さえる戦士。
「こっちは任せろ‼」
「援護するわ。風よ。巻き起これ、ウィンドカッター。」
「おうっ。」
「はぁあああ。」
剣を振り下ろす勇者、吹き飛び、地面にどさっと落ちるワイバーンの首。
「こんどこそ、討伐終了ですね?くまごろうさん?」
若干の冷や汗をかき、安心した表情で。そう尋ねる勇者。
「ん?まだ、血抜きがまだ、くまよね?」
首を傾げ、竜の死体を捌きだすくまごろう。
「あっ…。こっちは食べられないくまっ。これは食べられるくま…。」
☆☆☆
「あのそれ。食べるんですか?」
「とってもおいしいくまよ?」
「たべてみるくま?」
「あ…生肉はちょっと…。」
「そうくま?じゃあ、くまごろうが食べちゃうくまっ。」




