16 白熱料理バトル?料理はいつだって戦争です‼
カンカンカン。
打ち鳴らされるゴング。
「それでは料理バトルを始める。優勝者には勇者たちの晩餐会のメニューを任せる。なんなら、厨房を任せてしまってもいい。」
「ちょっ。私の立場‼」
参加者の中の一人から声が上がる。
「そして、優勝者にはドラゴン肉一年分‼」
会場中に響き渡る歓声。
そんなにみんなドラゴンの肉が好きなのね…。
「はぁはぁ。」
今度はよだれを垂らし始める参加者。
誰かと思えばうちのくまだ。
隣の参加者がビビッて、避けちゃってるよ。
あっ単に靴をヨダレで汚したくないだけか。
「この靴買ったばっかなのに…。」
「食材や器具は厨房内にあるものなら、何でも使って構いません。」
司会のリリアが観客席から説明する。
「そして、過度なつまみ食いは退場扱いとする。」
肉に手を出していた手を止める参加者。
いや、それまだ、調理されてない生肉だよ…。
元魔物の国とはいえ、ヤバいなうちの国。
「それでは、今回のテーマを発表する。テーマは題して、勇者様御一行、おもてなし大作戦だ。」
☆☆☆
今回の参加者は城内から選ばれた選りすぐりの参加者たち。
「絶対負けません。」
そういいながら脚立を持ってくる元ゴブリンシェフのフリン。
「絶対、ドラゴン肉、手に入れてケロくんに褒めてもらうくまっ。」
そして、趣旨を履き違えた人?人ではないな、クマが一匹。
「料理は私の得意分野ですね。」
司会かと思いきや、鞘からマイフライパンを取り出し、参戦するリリア。いや、その鞘どうなってんの?マジックバックってやつ?鞘なのに?
「食材なら負けないネ。」
シンクの上にどでかいマンドラゴラを置くラウネ。
衝撃に揺れるシンク。いや、荒業。
「とっても新鮮ネ♩」
☆☆☆
「さぁ、料理バトルも佳境に入って参りました。注目は我が城のシェフ、フリン、おおっとここで、なかまをよんだ…。」
司会を放棄したリリアに変わって司会を務めるのはアナウンサー風の人。いや誰ですか?あなた。
そして、厨房ではフリンと同じ顔をした元ゴブリンが大集結。それぞれ泡だて器や、ボウル、ヘラ、鍋をとりだし、加勢する。圧倒的、物量作戦。
「圧倒的な、人数で一気に仕上げていく。」
「おっとここで、リリア団長。普段は使わない剣を取り出した。」
「ただのマイ包丁ですっ。」
どっからどう見ても剣にしか見えないソレを華麗に振り回し、食材を一刀両断、細切れにしていく。
「ふう、つまらないモノですが…。」
わぁっと湧き上がる歓声。
「リリア頑張ってー。」
「はっ。天使様!?」
ちょっとあかくなるリリア。
「照れてるくま?」
「しろくま、次変なこと言ったら食材にしますよ?」
「さあ、続いて…。」
次の参加者を紹介しようとして、止まる司会者。
その視線の先には銀色のボウルに頭まで、つっこんでいる猛者がいた。
「えー。くまたん選手。過度なつまみ食いにより、失格となります。」
「くま?」
ボウルから顔を上げるくまたん。
その顔にはハッキリと生クリームの跡。
そしてそれをベロでなめて証拠隠滅を図ろうとする。
「不正はなかったくま。」
完全にやっちゃってるやつじゃん。
☆☆☆
「コレで残りの選手は3人となりました。さあ次はどんなな御業を見せてくれるのでしょうか。おおっとここでラウネ選手動いた。」
シンクに種を置くと、まるで魔法のようにあっという間に大樹にしてしまうラウネ。あっという間に厨房の天井を突き抜けていく大樹。そして、そこに実った果実をそのまま利用するという荒技っぷり。
「ああ、私の厨房が…。」
それを見てフリンが青ざめる。
ぴろぴろりん。
ドライアドの魔法もようがえ☆ミを検知。
大規模なエリア改変を検知。
名称が変わります。
ふつうの厨房→new洗練された新緑の佇まい
森の神の加護によりエリアに入るたびMP全回復。
部屋レベルが上がりました。
レベル20→レベル50
村民の方からのコメントが来ています。
村民の方からのコメント:おっがんばってるね。だが、厨房は永遠に完成することはない。日々、研鑽に努めるのだ。少々、緑が少ないようだ。もう少し増やしてもいいかもしれない。それと、毎日樹木に水をやるのを忘れないように、我々は覚えていなくても彼らは見ているぞ。
いや、誰?そして長い。彼らって誰だ。
「さぁ、洗練された新緑の佇まいでの戦いもいよいよ終盤戦です。三者ともに盛り付けに入ります‼」
いや、そこ変わっちゃう?そこ変わっちゃうの?
マンションポエムとかこっちの世界にもあるの⁉そんな建物見る限り、ひとつも見当たらないけど…。
とにかく、呼ぶのがひたすらにめんどくさいから…後で直してもらおう。
☆☆☆
「おおっとフリンシェフ。最後の盛り付けは…。」
クレーン車で運ばれそうな、どこから持ってきたねんと言いたくなるた馬鹿でかい皿を持ってくるフリンたち。
「よいしょ。よいしょ。全員止まるです。」
「コレは豪快ですねー。どうですか?くまたんさん。」
「早く味見したいくまっ。」
いつの間に審査員席に⁉
そして、コレまたデカい肉が会場の外から運ばれてくる。
「洗練された新緑の佇まいには搬入できなかったので、屋外で焼いてきましたですっ。」
ピシと謎の敬礼をするフリン。
「この肉はいったい?」
「最高級ドラゴンのスペアリブです。先日、我が国の国境沿いに侵入した個体を丁寧に焼き上げました。そして…。」
一気に開いていく厨房の扉。
「今回は一匹まるごと、調理いたしました。」
でん、でん、でーん、大きなお皿にどんどん置かれる。翼、頭、そして尻尾。
そして工事現場のようにかけられる大きな梯子たち。次々と足場が組まれると上から、たくさんの寸胴鍋を持ったフリンたちが中のソースをぶちまける。
そして仕上げとばかりにムースが添えられ…。
「完成‼ドラゴンの丸焼き〜ベリーソースを添えて〜」
完成という声にわぁっと湧き上がる会場。
そして残りの二人の料理も出揃った。
ラウネが天界系フルーツの盛り合わせ。
切ってあるわけではなく、ただバスケットに盛られているだけ。
いや、料理してないじゃんというツッコミは置いといて…。
「あれ?マンドラゴラは?」
「あれは今日の晩酌用ネ☆」
「こういうのはエンターテイメントネ。みんなエンタメに飢えてるアルネ。」
そして、そして、リリアの料理がこちら。
「ロック鳥のオムライスです♪」
「人間界の人気食材です。」
その鳥、人間界ではもう絶滅してたよーな。
こっちにはまだいるのかな?
☆☆☆
「ソレでは審査に移るくまっ。審査はまおーさまが独断と偏見で判断するくまっ。みんな文句ないくまよね。」
くまたん、なんか、荒れてる。
「そんなことないくまっ。」
くまの着ぐるみの中で揺れる白髪。みえないけど。
「あとで、そのドラゴンなんたら…。あげるからさ…。」
「ほんとくまっ?約束くまっ。」
「うん。」
そう小声で返事をする私とくま。
「まおーさま、マイクどーぞくまっ。」
司会の人からマイクを奪ってくるくまたん。
「あ…。あ…の今日のお給料は…?」
「あとでいつものやつに振り込んどくくま。」
小声でそう伝えるくまたん。
なんかコレやばい話とかじゃないよね…。やばい取引とか…。なんか私、聞いちゃいけないこと聞いちゃった気分…。そうじゃないことを祈る…。というかこっちにも口座とかあるの?銀行存在するってこと?
そして言いたいことだけ言って、会場、新緑の佇まいを後にするアナウンサー。本当にこの名称どうにかならないかな…。
って、そんなことより、結果発表。
手にはくまたんから預かったマイク、目の前にはたくさんの観客。
ここはエンタメ会場でもないけど。みんなっ盛り上がってるー。1階席のみんな〜。2階席のみんな〜(いないけど)。舞台に上がったアイドルの気分…。
会場に当たるスポットライト。
もう結果は決めている。
というか、ほとんどみんな元、マのつく種族だから…。人間の好みがわかるの私だけなんだけどね…。
「それでは今回の料理バトルの結果を発表します。」
☆☆☆
「今回のテーマは勇者様御一行、おもてなし大作戦。」
「評価は味、見た目そして、インパクトこの、3つで評価しました。」
ドゥルルルルル、鳴り響くドラムロール。
「優勝者は…。」
「フリンのドラゴンの丸焼き〜ベリーソースを添えて〜です‼︎」
湧き上がる完成。
「おめでとう。」
大きめのトロフィーを手渡す私。
それを涙ぐんだ何人かで受け取るフリン。
「そして優勝者にはドラゴン肉、一年分が贈呈されます。さらに、フリンには勇者の晩餐会の準備を命じます。
そして…。
「よかったですー。私の居場所とられなくてよかったですです。」
大泣きするフリンたちなのであった。
☆☆☆
「あれ?厨房こんな名前だっけ?」
ぴろぴろりん。
城主による異議申し立てを了承。
名称変更の要請。
名称が変わります。
洗練された新緑の佇まい→new世界の台所
森の神の加護によりエリアに入るたびMP全回復。
部屋レベルが上がりました。
レベル50→レベル70
創造神の方からのコメントが来ています。
あれ?マンションポエムやめちゃったの?
☆☆☆
「それにしても、あの謎のチョウチンアンコウを使わずに作るとは…。思ってなかったよ…。」
「魔王様は天使様なので、人間とも近いかと思いました。ドラゴン肉だけ、いまいちそうな感じで手をつけない感じではありませんでしたから。私たちの味覚では当てになりませんので。勇者たちの口にも合うと思いますです♪」
「うんさすが。フリン。勇者の晩餐会は任せたよ‼︎」
「はい!私にまかせなさいってやつなのです。」




