11 真昼の大決戦~私はあの極太ビームを忘れない~
再び時はもどって勇者サイド。
ドカンと大きな音があたりに響く。
城の周りは相変わらずの天候。
紫色の雲が沸き立ち、あたりは常に薄暗く、まるで、夜のよう。
「城の方からだ。」
あたりの薄暗い森からいっせいに飛び立つコウモリの群れ。
ゲル状の野営地からでて攻撃態勢へとうつる勇者たち。
「総員、戦闘配置につけ!」
「なんだ、何が起きている?」
「敵襲か?」
仲間の戦士風の男から声をかけられる勇者。
「いや、これはもっと別の…。」
あたりの茂みから飛び出し、逃げていく、魔物。
「スタンピードだ。」
すぐ近くの魔王城から発せられる閃光。
押し寄せる魔狼の群れ。
「くるぞ!総員構えて!」
剣と爪が交わる音があたりに響く。
そして…。
「あれはなに?」
パーティの聖女が何かに気づく。
城壁の一部が壊れたかと思うとそこから一気に押し寄せる虹色のビーム。
「避けて‼」
バリアを張ろうとする魔法使いたち。
「バリア耐えられません。」
「出力上げて‼」
吹き飛ばされていく魔法使い。
押し寄せるものすごい爆風と音。
ゲル状のテントのいくつかは吹き飛ばされ、戦闘に向け立てられた杭は折れ、吹き飛ばされる。
ビームにあたって、消えていく、魔獣。
不気味な暗い森は根元から折れ、魔獣ごと押しつぶす。
「部隊、耐えれません。」
地殻変動のように盛り上がっていく地面。
飛び出す木の根っこ。
「総員待避、待避ー。退避―。」
「繰り返す総員退避―。」
盛り上がった地面を見て、馬に乗っていそいで撤退を始める勇者一行。
「はっ。」
「国境地帯まで、退却する我に続け。」
ヒヒーん、馬のいななく音、そして蹄鉄が地面の砂を巻き上げる音。
勇者一行は魔王城を後にしたのだった。
☆☆☆
そして、時は進み五日後。
早朝。
ここは小鳥のさえずりが聞こえる静かな森。
「…。」
「えっ、おい、道間違えてないか?」
「こんなんじゃなかった気がするのだけれど。」
一行が歩くのは柔らかな日の注ぐ木漏れ日の森。
「国境沿いから森を抜けて、30日ほど方角も間違いはないはずだが…。」
地図を見て方角を確かめる戦士。
「そういえば、周りの木々も…普通ね。」
周りの木を確かめる聖女。
「少し前の魔王城の木はこんなんではなかったような…。もっと、触るなキケンって感じだったのに…。」
「とげとげの木も紫色の木もない…。どうなってるんだ。」
「まぁ、今回は国王軍も、恐れをなしてついてきてないし…。戦力は私たちだけ、慎重に行動するべきね。」
「そうだな。もうすぐ、魔王城だ。気を付けよう。戦士、魔王城まではあとどのくらいだ?」
勇者はそういうと戦士に残りの距離を尋ねた。そしてそれを地図を見ながら確認する戦士。
「そろそろ城が見えてくるはずだが…。」
「あ、あんなんだったか?」
戦士の指さす先、木々の間から、見える城。
まるで絵本の世界から飛び出したかのような真っ白に輝く、赤い屋根の城。
「いや…俺たち道間違えたかな?」
☆☆☆
勇者たちの目の前にあるのは白銀に輝く、白亜の城。おどろおどろしい魔王城とは似ても似つかない。
「どこかで道を間違えたのかしら。」
「それにしても立派な城だ。我々の知らない国の王都にでもたどり着いたのだろうか。当然、城主、国王もいるだろう。」
「どうする?使いでも放つか?」
「そうだな。文鳥を放とう。そうだな…。文面はこんな感じで…。どうだ。聖女。」
「まあ、100点満点中50点ってとこかしら。」
「いや、それ、貶してないか?」
「褒めてるのよ。私、完璧主義だから。」
「そうか、すごく、分かりにいくいぞソレ?」
「で、勇者、場所はどうする?」
「そうだな。ちょうどあの開けたあたり、そうだなあのバルコニーとかどうだ。」
「確かにあそこならば鳥も飛びやすいな。よし、手紙をつけてくれ。」
「ああ。」
「飛ばすぞー。それっ。」
バタバタバタバタ。
空高く飛んでいく、文鳥、くるっと、空で一回転すると、バルコニーの上に綺麗に止まった。
しばらくすると、カラン。窓の開く音。
出てきたのは白髪のそう、それはまるで。天使のようだった。
文鳥についたき手紙を器用に外すとこちらを見て、手を振る。なんとお美しい方なのだろう。隣ではすでに戦士が息も絶え絶えに目ん玉ハートにして倒れてしまった。
「あの方はもしや…。私の運命の人。」
「何言ってんのよ。バカ勇者。恋は盲目とはこのことね。ほら帰るわよ。」
ああ、引きずられている。すごく引きずられている。
あの方はもう。窓の向こう側。
恋は盲目。だが、私のハートは…。
「何言ってんだか。あなた、王国に婚約者いるでしょ。ほんと男ってバカなんだから。」
「ほら、たったと宿探さないと、日が暮れるわよ。」
☆☆☆
ホーホーホー。
あたりはもうすっかり夜になりフクロウの鳴き出す時間帯。
べちゃ。地面で眠る一人の男に降り注ぐ鹿の糞尿。
鹿のかけていく音。
「ん?なんだ?」
生暖かい感触に起き上がり、しばし、フリーズする男。
そして。手についた茶色いモノを見た瞬間。
「ゔぉえ。」
再び眠り?に落ちる男なのだった。
☆☆☆
「どうした?こんな時間に…。」
「戦士忘れてきたわ。」
「なにこれ、くちゃい。どうする?持って帰るのやめる?」




