10 決戦前夜~それ、美味しそーですね、チョット分けてもらっていいですか~
はやくまおーさま起きるといいくまー。」
これは魔王城が浄化される少し前のお話。
そして、勇者一行と魔物たちのお話。
パチパチ。
魔王城のそばで焚かれる火、真っ赤な火。
そして並べられた、たくさんのテント。
魔王城からはすぐそこ。徒歩5分。
「もうすぐそこまでゆうしゃが迫ってるくま。」
魔王城の防壁から器用に双眼鏡を使って観察するくまたん。
「うわー。あの料理とかおいしそーくま。」
口からヨダレを出すくまたん。
「今度、城の料理人につくってもらうくまっー。」
☆☆☆
「第一回、魔王城対策会議を始めるくまっ。」
黒々とした大きな机に、大きなシャンデリア。
窓の向こうはコウモリの飛び交う紫色の空。
まさしく、魔界。
そして、一際大きな赤い椅子のわきに立ち会議をはじめるくまたん。
「最初の議題は勇者についてくま。」
「この国にはみんなも知っている通り、吸血鬼、サハギン、魔女、ドラゴンをのぞく、ほとんどの魔族がすんでるくま。」
「サハギンは海がないネ。吸血鬼は人間領に住んでるネで、魔女とドラゴンは別の国があるネ、つまり、ほとんど、全部アルネ。」
「がうがうがう。」
「カタカタカタ。」
会議はほとんど、人語を介さずに進んでいく。
「ふがー。」
「豚はしゃべるなくまっ。」
「きしゃー。」
「ゴブリンも正直、何に言ってるかわからんくまっ。」
「窓の外にほっぽりだすくまl。」
「ぐぎゃ、ぐぎゃ、ぐがー。」
スケルトンの兵士たちにより、鉄格子の窓の外に打ち捨てられるゴブリン。
叫び声をあげながら、窓の外へと飛んでいく。
そしてきらんと空の彼方へ。
「場外ホームランくまっ。」
☆☆☆
一方、そのころの勇者陣営
「ゴブリンだ。ゴブリンが攻めてきたぞー。」
「総員、弓矢準備。うてー。」
「ぐギャグぎゃぐぎゃ。」
対ゴブリン戦が始まっていた。
「なんか、このゴブリン飛んでこなかったか?」
「はぁ…。そんなわけがあるか。急いで戦線に戻るぞ。」
☆☆☆
「まったく、どこから、まぎれこんだくま。」
「ゴブリンは知能低くて、きらいくまっ。」
「それじゃ、そろそろ本題に移るネ。」
「勇者はもうすでに人間領との国境をこえて、城壁のすぐ近くまで迫っているネ。」
「そこで、まおーさまを起こす必要があるくまっ。」
「わう。」
「カタカタカタ。」
「ぐぎゃ。」
「まだいたくまっ?」
「お前も場外ホームランくまっ。」
再び空の彼方へ消えていくゴブリン。
「ぐぎゃぎゃぎゃ。」
☆☆☆
「やっぱあいつら空飛んでるぞ。」
「飛行型のゴブリンってことか。これも魔王軍の作戦…。」
「兵長どうしますか?」
「決まっているだろう。やつが着地する前に撃ち落とせ‼」
「はっ。」
「前方に目標物発見、砲兵前へ。」
「発射!」
「ぐギャグぎゃぐぎゃ。」
☆☆☆
本日のメニュー。
「ゴブリンのポワレ」
うん、あまり、美味しくなさそうだなby勇者。




