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少女と裸のお付き合い?

今回は少し暴走気味です。あまりにもテンプレすぎる展開にあなたはついてこれる?

また、後書きの方でお知らせがありますので最後まで見て下さいね。

「えへへ、気持ちいいね」


 オリーブが湯船に浸かりながら、幸せそうに笑う。僕とオリーブはお互いに向き合いながらお風呂に入っている。

 まさか僕が女の子と、しかも年下の子と裸の付き合いをするなんて思っていなかった。昔読んだハーレム物の漫画で主人公が女の子と一緒にお風呂に入るシーンを見た事があるが、まさにその状況だ。夢でも見ているんじゃないかしら。


「…ん?どうしたの、コーちゃん?横向いちゃって」

「へ?あ、いや…」


 僕は無意識に彼女から目を背けていたようだ。…落ち着け、中村光司。今の僕はガイノイド、つまりオリーブと同じ女の子なんだ。理由は分からないが僕を異性として見てはいない。普通に友達感覚で接しても大丈夫って訳だ。

 落ち着け、落ち着け…。僕は自分にそう言い聞かせ、深呼吸をする。オリーブはそんな僕を不思議そうに見つめていた。


「そ、そうだ。オリーブ、君に聞きたい事が一つあるんだけど」

「どうしたの?」

「さっき君が言ってたお母さんって人の事が知りたいんだ」


 僕は彼女の母さんの事について聞いてみる事にした。地味に気になってたんだよな、その人。


「お母さんの事?…お母さんはね、あたしを造ってくれた人なの。そしてあたしにこの世界で生きるルールを色々教えてくれたんだ」

「生きるルール…」

「うん。この世界にはアンドロイドっていう悪い奴がいて、それと戦うのがあたし達ガイノイドの役目だって。あたしもその中の一人なんだよ――って、これはさっきも言ってたね。あはは」


 オリーブが言う母さんというのは、どうやら「生みの親」のようだ。そしてその人はオリーブに色々な事を学ばせたと。


「その人って、この島のどこかにまだいるのか?」

「しばらく会ってないけど、多分いるよ。確か『ワッカナイ』って名前の町に住んでいるの。ワッカナイはこの島の一番北の方にある町で、生まれたばかりのあたしはそこで一緒に暮らしていたんだ」


 ワッカナイ…聞いた事のない場所だなぁ。恐らく元の世界にある北海道にも同じ名前のがあるんだろうけど。でも北海道の一番北にある町って、どんな所なんだろう?


「お母さんはいつもあたしに優しくしてくれたよ。あたしね、よくあそこでアンドロイドと戦う訓練をしていたんだ。訓練が上手くいった時はね、いつも優しくあたしの頭を撫でてくれたの。それが楽しみで頑張ってたなぁ」

「へぇ、色々頑張ってたんだな」

「うん。アンドロイドと戦う事はこの世界を守るヒーローになれる証だって。そのヒーローの中にあたしが入ってるって考えたら、とてもウキウキするんだ。あたしはみんなの役に立ててる――それがあたしの生きてる意味、なのかな。よく分かんないけどね」


 生きてる意味、か…。そういや僕、その事について考えてなかったなぁ。僕はただ普通に生活をしているだけで精一杯だったから。僕もこの世界で生活していたら自分の生きてる意味が分かったりしないかな。


「…それからね。あたしがお母さんから離れて一人で過ごす事になった時、お母さんがこう言ったの。「もしこの世界が危機に陥った時、あなたはそれを防いでくれる最後の希望なの」って。その最後の希望というのが何なのか分かんないけど…でも、お母さんはあたしの事をとても期待してくれたんだ。あの言葉があったから一人でも寂しくなかったんだよ」


 最後の希望。それは何を意味するのかは分からないが、いずれその時が来るのだろうか。出来ればそんなのは来てほしくない所だが。


「その後はコガネちゃんに会って、このお家で一緒に暮らして…。コガネちゃんはあたしがアンドロイドに襲われてる時に助けてくれた子なんだ。あたしより強いかも」

「そ、そうなのか?」

「うん。片手で大きな物を軽々と持てるんだよ。あたし、ビックリしちゃったもん」

「は、はあ…」


 片手で大きな物を持てるとか、正直想像できん。あんなふんわりとした癒し系の女の子が…。とりあえず、あの子には絶対に逆らわない方がいいな。何されるか分からないから。


「…ふぅ、そろそろ髪と身体を洗わないとね。コーちゃん、せっかくだから一緒に洗おうよ」

「え?一緒に?」

「そうだよ。せっかくお友達になれたんだもん、もっと一緒に触れあおうよ!絶対楽しいよ」


 一緒に触れあうって、そういう意味なのか…?くぅ、まさかここまで踏み込んでくるとは。本当は断りたいけど、そんな事をしたらこの子が悲しむかもしれない。

 …ここまで来たら、やるしかないか。覚悟を決めよう。


「あ、ああ。いいよ。一緒に洗おうか」

「えへへ、ありがとね。じゃあ、まず最初にコーちゃんから洗ってあげる!」


 こうして、僕はオリーブと一緒に髪と身体を洗う事になった。まずはオリーブの番で、シャンプーを使い僕の髪をゆっくりと撫でるように洗う。こ、これは…気持ちいいぞ。


「どう?気持ちいいかな」

「ああ、とっても」

「えへへ~。あたしね、よくコガネちゃんの頭を洗ってるから自然と上手くなったんだ。コガネちゃんも褒めてくれたんだよ」

「そっか。コガネも君と一緒に入る時があるんだな」

「うん。今度機会があったら、三人で一緒に入ろうね」

「あはは…楽しみにしておくよ」


 泡をシャワーで洗い流した後、その次に身体を洗う事になった。オリーブはタオルを使い、僕の背中をごしごしと洗ってくれている。こうやって誰かが僕の背中を洗ってくれるのは小さい時以来だ。ちょっと恥ずかしいけど。

 オリーブは丁寧に僕の背中を洗う。これもなかなか気持ちいい。この子、意外と才能があるかも…と思っていたその時だった。


「んふふー、えいっ!」


 突然、僕の背中から柔らかい何かが伝わってくる。こ、これってまさか…。


「お、オリーブ!?何をやっているんだ!?」

「えへへ、驚いた?」


 僕の予想通り、この柔らかい感触の正体はオリーブの身体だった。彼女の小さな身体が僕の背中にくっついてくる。特に、その…ちっちゃい二つの胸が、一番僕の背中に伝わってくるのを感じた。


「よくね、コガネちゃんと一緒に身体を洗う時はこうしてイタズラしているの。たまにやり返される時もあるけど、それも含めて楽しいんだよ。…どう?楽しい?」

「た、楽しいって…」


 楽しいというか、恥ずかしいというか…。さっきも言ったが、まるでハーレム物の漫画でありそうな展開だ。ただ違う点は胸の大きさか。漫画の方だと胸が大きい子が僕の背中をぐにゅっと触れてたけど、こっちはその真逆。

 …でも、意外とこっちの方が興奮したりして!?


「あ、あわわ…」


 僕は思わず情けない声を上げていた。小さい女の子で興奮するとか何考えてんだ、自分。


「だ、大丈夫?コーちゃん、困らせちゃったらごめんなさい」

「ああ、いや、だいじょーぶ、だよ…」

「と、とりあえずイタズラはこの辺にしておくね」


 オリーブによるイタズラは終わり、再び彼女は僕の背中を洗う。それが終わった後、今度は僕がオリーブの髪と身体を洗う番になった。

 僕は今までの人生で誰かを洗ってあげるような事は一度も無い。僕に出来るだろうか…と少し不安な気持ちになる。とにかく、僕はオリーブの髪をゆっくりと洗い始めた。


「ど、どうだい?」

「うん、気持ちいいよ」


 オリーブは喜んでくれているようだ。僕は今の調子のままで彼女の髪を洗い続ける。髪の毛洗いはこうして何事もなく終えた。

 そして、次は背中洗いだ。これも落ち着いて、ゆっくりと洗おう。そうすれば大丈夫だ。


「…よし、洗うぞ」

「うん。ゆっくりでいいからね」


 僕は覚悟を決めるように、オリーブへ向けてそう言った。背中を洗うだけなのにどんな覚悟がいるんだ?って話だが。

 僕は彼女の言われたように、ゆっくりと背中を洗う。タオル越しでオリーブの感触が伝わってくる。ガイノイド、つまり機械の身体で出来てるとは思えないほど柔らかい。実際の女の子もこれくらい柔らかいのだろうか。


「コーちゃん、髪の時もそうだけど洗うの上手だね」

「そ、そうかな…?」

「うん。ところでコーちゃんはこれをやるの初めて?」

「あ、ああ。初めてだよ」

「そうなんだ。コーちゃん、もしかしたら新しい才能を見つけたかもしれないね!」


 新しい才能って、そんな大げさな…。とにかくこの子が満足しているようで何よりだ。

 よし、このまま洗い続けようか――。


「…ね、コーちゃん。さっきのあたしみたいにイタズラとかしてこないの?」

「へ?」


 突然何を言い出すんだ、この子は?


「だってあたしとコーちゃんはお友達じゃない。さっきも言ったけど、もっと仲良くなるには直接触れ合うのが一番なんだよ」

「そ、そんな事言われても僕に出来る訳が――」

「大丈夫だよ。あたし、あなたにイタズラされても怒らないもん」


 オリーブはきっぱりと言い放つ。…この子は本気だ。僕の事を信頼しているからこそ、こう言ってきたんだ。よし、だったらお言葉に甘えてイタズラするとしよう。


「…分かった。行くよっ!」


 オリーブの身体をガッチリと捕らえる。僕は彼女のちっちゃくて柔らかい身体を直に触っていた。

 その勢いで、僕とオリーブは同時に前へ倒れてしまう。や、やりすぎたか…。


「ひゃあっ!…もう、コーちゃんったら強いよー!」


 オリーブは仰向けの姿勢で僕に言ってくる。この子は文句を言いながらも楽しそうに笑っていた。

 …普通だったら殴られるような事でも笑って済ますなんて。逆に罪悪感を感じさせるな。


「ご、ごめん!ちょっと本気でイタズラしちゃったかな…。怪我はないか?」

「ううん、全然平気だよ。今のでコーちゃんがあたしを好きだって事が凄く伝わってきたもん」

「ぼ、僕が君を好きって…」

「うん。あたし、とっても嬉しいよ」


 オリーブは満面の笑みを浮かべている。とりあえず、この子の期待に応える事が出来てよかった――と安心していたら、僕の両手が何かに当たっているのに気づく。

 …手のひらに納まる、ぷにっとした二つの小さな感触。こ、これはまさか…!


「…でも、あたしの胸を触るのはさすがに大胆かも」


 さっき前に倒れた時、無意識にオリーブの胸を両方触っていたようだ。お、お約束な展開…!


「ご…ごめんなさいっ!」


 僕は慌てて自分の両手を離し、何故か敬語を使いながら彼女に謝るのであった。




 こうして無事に(?)お風呂を出た僕たちは、服を着替え始める。オリーブは自分のパジャマに着替えていた…が、僕はここで自分の着るパジャマがないという事に気づいた。

 僕は慌てて洗濯カゴの中にある脱ぎ捨てた服を再び着る。幸い、服はそこまで臭くなかった。一度脱いだ服をパジャマ代わりにするのは気が引けるが、こればかりは仕方ないと割り切るしかない。


「コガネちゃん、お風呂出たよー!」


 リビングに向かい、オリーブはコガネに風呂から出た事を報告した。


「はーい。…二人とも、お風呂で楽しそうに笑ってましたね。こっちでも聞こえてましたよ」

「えへへ、聞こえてた?さっきね、一緒に身体を洗ってたんだ。とても楽しかったよ」

「そうだったんですね。…もしかしてオリーブちゃん、コウさんを私みたいにイタズラしてませんでしたか?」

「うん、したよ。コーちゃんもあたしにイタズラしてた!あたしの胸を触ったのはちょっと予想外だったけど」

「あらあら…。コウさんも結構大胆な事をするんですね」


 返す言葉もございません…。わざとじゃないとはいえ、やったのは事実だもんな。


「とにかく、お二人が楽しそうで私も嬉しいです。…コウさん、これからもオリーブちゃんと仲良くして下さいね」

「ああ、分かってるよ。オリーブ、今日は色々と君に助けられたよ。ありがとな」

「えへへ、どういたしまして!」


 オリーブは嬉しそうに笑う。今日は本当にこの子のおかげで無事に生き残る事が出来た。明日もオリーブと一緒にいれば無事に一日を送れそうだ。


「…じゃ、お風呂も終わったしそろそろ寝よっか!お休み、コーちゃん、コガネちゃん!」

「ああ、お休み」

「お休みなさい、オリーブちゃん」


 お風呂から出て、僕とオリーブは自分の部屋で寝る事にした。普段の僕だったらこの後はスマホで好きな動画を観たりゲームをしたりなどしていたが、この世界には当然そんな物はない。なので、今やれる事は寝るしかないのだ。そう考えるとちょっと不便だなぁと僕は思った。

 僕は部屋の電気を消してベッドに入る。天井を見ながら、僕は元いた世界とこの世界の事を両方考えていた。今頃、あっちの世界では親が心配しているに違いない。いつもうるさい事を言うけど、完全に僕の事を嫌ってる訳じゃないからな。クラスのみんなは僕がいなくなってもどうでもいいと思ってそうだけど。

 そしてこの世界の事。この世界には僕の知らない事がまだまだたくさんある。そして、謎も…。不安はあるが、それ以上にワクワクしてきた。

 それに、だ。この世界で僕に味方してくれる人はみんな女性の姿をしたガイノイド。つまり――今の僕は、女性にモテモテも同然という訳だ。そう考えるとこの世界も悪くない。僕はこれからたくさんの女の子に出会って仲良くなるのだろう。ついに僕にもモテ期到来!なんちゃって。


 僕は期待に胸を膨らませながら、眠りにつくのであった。

ここまで見ていただきありがとうございます。

今回の話で一区切りがついたので、投稿をしばらくお休みします。

再開は早くて来月上旬の予定になりますので、それまで少しの間お待ちください。

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