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世界中の母に捧げるバラッド  作者: 富永真一
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深夜の帰宅

深夜の帰宅。


ダウンのファスナーを開け、服の中に溜め込んだ冷気を逃がす。

放出した冷気と引き換えに、温かい空気に体を包ませた。

真冬の空気に手袋は役立たず。掌が赤くなり、急に流れ出した血液が掌全体をパンパンに膨らませている。


帰宅後のうがいと手洗いは忘れてはいけない。


すぐに洗面所へ行く。

洗濯機の上に脱ぎ捨てられた色褪せた自分のセーターを何気なく頭から被ってみた。


温かい。部屋の暖気のせいか・・・・・・?


その結論を待つ前に、ある匂いが鼻を抜けた。


確かめるために、セーターの両袖を自分の腹の前に揃えて見てみる。


やはり――。


その袖は少し外側に折られていた。


オフクロが着たのだ――。


オフクロの匂いを嗅いだのはいつが最後だったか。

思いを巡らせても、最後の記憶は蘇らない。


俺は帰りが遅くオフクロは朝が早い。二人で暮らすオフクロとも最近は滅多に顔を合わせないし言葉も交わさない。


今日も、オフクロと俺をつないだのは晩飯の置き書きだけだった。

外で済ませてきたのだからその晩飯ですら俺は手を付けずに寝るわけだが。

俺が仕事で体を壊した時から、野菜が増えたし、噌汁の味も薄くなった。


元気だろうか―。


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