私の異世界帰りな幼馴染は和菓子が好き。
なろうラジオ大賞用小説第九弾!
私の幼馴染のシンちゃんは、自称・異世界帰還者だ。
と言っても彼は、数年前に行方不明になって最近戻ってきた、とかそういう意味での異世界帰還者じゃない。
なんと彼は、最初に生きていた時代……一万二千年くらい前に、異世界転生するための術を作って、それで何度も異世界転生して。
そして最終的に、この世界に戻ってきた……そういう意味での異世界帰還者だ。
でも私にとって、正直そんなお話は。
荒唐無稽でスケールが大き過ぎて信じられないけれど。
ついでに、厨二病じゃないかって思っていた事もあるけど。
でも、どうしても異世界由来としか思えないような……そう、まさに異世界系の主人公じみた能力と言ってもいい能力をシンちゃんは時々披露するし。
それに異世界人、もしくは異世界由来の能力を持つこの世界の人達がシンちゃんが経営するマンションに集まってきてるし……最近は、いい加減信じ始めてる。
「芳香、いるか?」
そしてそんな、常識から外れたシンちゃんは。
時々、ホントにそんな過去を持っているのか分からなくなる言動をする。
「今日はモヌアカあるか?」
それは…………シンちゃんが最初生きていた時代が起源だってシンちゃんは言う和菓子を所望する事。
ちなみに、日本におけるお菓子の起源は邪馬台国の時代にまで遡ると言われてるけど……超古代起源説はさすがに信じられない。
ちなみにモヌアカとは。
超古代における最中の呼び方らしい。
「えぇー、シンさん、それより私達の作ったお菓子を食べてくださいよぉ」
「そうよぉシンさん、この世界のお菓子よりも絶対好きになるんだからぁ」
シンちゃんの後ろから。
異世界人としか思えない新顔の女の子達が現れ……ってまた増えてる!
いや時々は男性も増えるけど!
「何を言う」
するとその時。
シンちゃんは真面目な顔で二人に言った。
「確かに異世界のお菓子も美味しかった。だが俺にとってはこの世界の和菓子……特に芳香の実家で作られてる和菓子が一番なんだ。人の好き嫌いを勝手に決め付けないでほしいな。それから……何気に和菓子をディスった事を芳香に謝りなさい、二人共」
「ええっ?」
「そ、そんな事でぇ?」
「そんな事……俺にとっては、リアルラーララアースの刑に値する罪だが?」
「「ひぃ!? ご、ごめんなさい!」」
シンちゃん、いったい二人に何したの。
まぁでも……シンちゃんの話の真偽はどうであれ、シンちゃんがウチの和菓子を好きでいてくれるのは、とっても嬉しいな♪
いつか、この話も連載したいものよ異世界帰還者視点で(ぉ