古井戸を満たす肉
ひとつ ひるから ひところし
ふたつ ふきつな ふるいどに
みっつ みをすて みつるまで
よっつ よなかに よぶこえが
いつつ いどから いつまでも
むっつ むしんで むがむちゅう
ななつ なきがら なきもせず
やっつ やつざき やみにけす
ここのつ ころした こえださず
とおで とうとう としくほう
■□ ■□ 原文 ■□ ■□
一つ 昼から 人殺し
二つ 不吉な 古井戸に
三つ 身を捨て 満つるまで
四つ 夜中に 呼ぶ声が
五つ 井戸から いつまでも
六つ 無心で 無我夢中
七つ 亡骸 泣きもせず
八つ 八つ裂き 闇に消す
九つ 殺した 声出さず
十で とうとう 兎死狗烹
■□ ■□ 意味 ■□ ■□
昼から人を殺している
古い不吉な井戸が
いっぱいになるまで死体を捨てる
なぜか夜中に呼ぶ声が聴こえる
井戸からいつまでも聴こえてくる
何も考えず無我夢中でやった
どの死体も泣いたりしないのだから
細かく刻んで闇から闇へ消せばいい
俺はやった! 声を出すことなく成し遂げた!
すると、もうお前に用はないと殺されてしまった……
同じ村の仲間を皆殺しにしてまで侵略者に媚を売ったのに、用が済んだら殺された愚かな男の詩
※ 兎死狗烹
利用価値があるときだけ用いられ、無用になると捨てられてしまうことのたとえ
くろたえ氏の『夜の詩』の第六話『消えた村 子供殺しの数え歌』に影響を受けて書いた作品です。
https://ncode.syosetu.com/n2616gn/6/
くろたえ氏
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