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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

秘密の話

作者: Dial3495

過敏になりすぎている、と思われるかもしれませんが、ガールズラブ、病んでいる表現があります。苦手な方は注意して下さい。



桜比良(オウヒラ)学園高等部―――



ここの演劇部には部長の間にだけ代々伝わる話がある―――










「先輩達、卒業しちゃったねー。」



「そうだね。」



田中絵美(タナカエミ)と下浦菜々(シモウラナナミ)は演劇部部活で話していた。



「これからは私達が頑張っていかないとねー。菜々美が部長、私が副部長。皆を引っ張っていって、皆で頑張って、全国大会にいこうね!」



「そうね。」



ふと、絵美は菜々美の様子がおかしいのに気付いた。


何時もと比べて大人しいというか、言葉数が少ないというか…。


「ねぇ、菜々美…どうしたの?何かおかしいよ?」



そう絵美が尋ねると、菜々美は笑みを顔に浮かべ、答えた。



「ねぇ…絵美…?ここの演劇部の部長にだけ伝わる話があるんだって…。」



絵美は何故か聞いてはいけない、と思ったが、好奇心に負け、そのまま聞いていた。



「あのね…、ここの演劇部は部長と副部長の間にだけ存在する『命令制度』っていうのがあって、副部長は部長の命令には逆らえないの…。」


それを聞き、絵美は驚愕した。知らなかったのだ。いくら部長の間だけといっても、そんな話があった何て…。



「う、嘘…!」



「嘘なんかじゃないわ。今年ご卒業された先輩は勿論、その前も、その前も…。話によると、演劇部が出来た頃からずっと続いてるって話よ…。」



「で、でも…!そんな事言われても私は嫌!」



それを聞くと、菜々美は更に笑みを深くした。



「大丈夫よ、絵美…。今から私が特別な言葉を言うから…。それを聞いたら私の命令に何も考えずに従うようになるの…。」



それを聞き、絵美は恐怖を覚えた。菜々美は、本気で自分を忠実に命令に従うようにさせようとしているのだ…。


「な、菜々美…。…!そうよ、そんな話、本当はなかったんじゃない?大体、何処にも変わったところなんてなかったじゃない。本当にそうだとしたら怪しいところなんてすぐに分かるし…。」



しかし、菜々美は首を横に振った。静かに、だがはっきりとした否定だった。



「絵美…忘れたの?命令すればどんな事でも従うのよ…?勿論、誰かを死なせたり、自殺させるような事は命令出来ないけどね…。」


つまり、菜々美は暗に

「命令は精神に関わる事すら従わせる事が出来る」と言っているのだ。



「そ、それじゃ…。い、嫌…いやぁ…!」



「怖がる必要なんて無いわ…。絵美…。」



菜々美が一歩一歩近付いてくる。絵美は逃げようとしたが、あまりの恐怖に上手く動く事が出来ない。とうとう教室の隅に追い込まれてしまった。


「絵美…。これから頑張っていこうね…。」



そういうと、菜々美は耳元で何かを囁いた。それを聞いた絵美は、何かを言う暇もなく眠ってしまった…。













「絵美…。私ね…、絵美が離れていくのが怖かったの…。」



絵美はまだ眠っている。目を開けたら絵美は確実に菜々美の命令に従うようになるのだ。



「絵美は真面目だから、部長と副部長っていう立場に線を引いてしまうって思ったの…。私は今まで通りに接して欲しいけど、絵美がそうしなかったらって思うと…。私はそれが怖かった…。」



そう言う菜々美の目には、愛情と切なさ、そして少しの狂喜が混じっていた。



その時、絵美が目を醒ました。



「絵美、命令よ…。今まで通り、変わらず私に接して頂戴…。」



絵美は、うっすらと微笑みを浮かべた。



「分かりました…。菜々美…。」

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― 新着の感想 ―
[一言] 初めまして   命令で「今まで通り・・・」ってとこは好きでしたよ 友達が自分から離れるのはやっぱりキツいし。 よければ私の作品も読みに来てくださいね
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