スクープキャメラマンのニャゴロー①
「ママー! ニャゴローどこーっ!?」
予言はこのことだったのか!
つい先ほど、意味もなく全身が総毛立ち、突然の腹痛に見舞われた我輩。
これは細胞たちのSOSだったようだ。
三河家暴君美也殿が我輩を探しているなどと……ろくなことではないであろう。
ここは一つゴミ虫宅へ避難……!?
「みーっつけた!」
「ニャァッ!」
不用意に廊下へ出たところで捕まってしまった!
まさか美也殿はニュータイプ!?
グヌヌ、無念!
「ニャゴローは行動がワンパターンなのよね。どうせおじさん(ゴミ虫)とこでも行く気だったんでしょ?」
美也殿は我輩の胸倉を掴み上げ(普通は背中の皮)自身の目の前まで持ち上げた。
その眼光は見るもの全てを石に変えたと言い伝えられる毛髪が蛇のあの悪魔にも重なった。
幾人もの命を刈り取ったナイフのような彼女の指先が我輩の喉元に!
絶体絶命!
ニギャッ!
「これを首輪のところへっと」
美也殿は我輩の首周辺をゴソゴソし始めた。
間違いない、これは我輩の喉ぼとけを狙っている!
こんなところでヤられてたまるかっ!
「ブニャッ!」
無理な姿勢からの体重千分の一を乗せたテレホンパンチ!
「痛っ!」
ドジョウよりも細い美也殿の指先へヒット!
手前味噌だがお見事なりっ!
「ジッとしろっ!」
{ドギャッ}
直後、我輩の生命を司る全電源は落ちた。
――――――
幾千の時が流れただろうか。
夢うつつな我輩の体が急な浮遊感に包まれる。
「二……ニャ……ァ」
「お、起きたねニャゴロー」
瞼を開けるとそこにはメヂューサが!
※因みに音羽(母)はステンノー、小織(姉)はエウリュアレに例える。何故なら美也よりヤバいから
「ジッとしないと本当に石にするから」
美也殿の視線が窓の外にある塀へと向けられた。
従わなければあそこへ埋め込むとの意思表示か。
よく見れば表面に毛のようなものがこびりついて……我輩の心はこの辺りでポキッと折れた。
―― 待つこと数十分 ――
「これでよしっと!」
ギリ耐えられるぐらいの重量が首へとのしかかる。もしかすると奴隷の首輪でもつけられたのだろうか。とは言え、今現在我輩の置かれている立場はほぼ三河家スレイブ状態であり、これまでと何ら変わりない。情けないがこれが現実なのである。
「さぁニャゴロー、首輪にカメラ取り付けたから町中の路地裏を撮影してきなさい!」
美也殿はそう言って我輩を玄関の扉へ向かって投げつけた。
ただの家猫ならばそのまま扉に激突するであろうが、三河家では日常の扱いである。寧ろ回転を加えない辺り優しささえ感じられる。
常日頃から投げられ慣れている我輩にとって激突回避など朝飯前のよよいのよいだ。
「ニャッ!」
回避行動で掛け声とともに体を捩じってと……ん!?
ここで思わぬ事態が!
首輪に重量物をつけられたことで思うように体が動かない!
マジでぶつかる二秒前!
ニギャァァァァァァッ!
こうして本日二度目となる強制終了が我輩を襲ったのであった。




