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第1話 妹にはステータスがあるらしい。

俺の名前は高宮蓮司。

最近俺の双子の妹の将来が心配だ。

おまえはシスコンかって?

ああ、俺がシスコンなのは否定しない。

血を分けた可愛い妹だ。

大切に思うのはは当たり前だろう?

お前たちだって家族は大事なはずだ。

イヤ、必ずしもそうではないな。

すまない。

ひどい家庭環境で育った人もいるだろうし家族さえいない人もいる。

そんな人にとっては家族が必ずしも大事な存在ではないかもしれない。

俺自身そんな環境で育った経験がないから想像しかできないが少なくとも俺なんかよりも苦労していることだけは確かだ。

俺が家族が大事と思えるのは俺の育った環境が恵まれているからだな。

それでも妹が俺にとって大切な存在であるのは変わりない。

妹の名前は花蓮。

まさに名は体を表すを体現する存在だ。

え、兄バカの言うことは信じられないか?

それならそれでかまわんよ。

俺が可憐で可愛いと思っているのだからそれだけで十分だ。

そんな可憐で可愛い妹だが漫画やアニメゲームが好きで学校の成績も運動能力も平均的なごく普通の女の子だ。

ただ一般的な妹と違って身体が非常にに弱く生まれてからずっと病院に入院していた。

俺も可愛い妹のために毎日病院に通い俺がいないときでも寂しくないように漫画やゲームを奨めた。

するとすぐに妹は漫画やアニメやゲームに夢中になり今では俺よりもゲームが上手く、漫画やアニメに詳しくなっている。

そんなずっと入院生活をしていた妹にある日奇跡が起きた。

なんとあれほど身体が弱く隔離に等しい生活をしていた妹が元気になったのだ。

これには医者も驚いた。

そしてもちろん俺達家族は泣いて喜んだ。

そんな妹が元気になり家族内の空気も良くなってから数日たったある日俺は目撃してしまった。

その日は妹が病院を退院して我が家に帰って来た翌日のことだった。

俺が病院ではなく我が家で妹に会える。

俺の妹が家で俺の帰りを待っているのだから俺のデンションMAXと言っても良いだろう。

リビングの扉を開けて生涯初めての妹へのただいまをノリノリで言う。

「ただいま!『ステータスオープン!』」

妹が俺に笑顔でおかえりの挨拶をしてくれるのを待つ。

・待つ。

・・待つ。

・・・待つ。

・・・・もう待てない。

お願いだ妹よ今すぐおかえりと言ってくれ。

「ちょ、ちょっと兄貴。急に泣くなよ。どうしたんだ。」

おかしい今は春でとても過ごしやすい気温なのに目から汗が溢れ出てくる。

俺は知らなかった。

妹におかえりと言ってもらえないことがこんなにも悲しいことだなんて。

「兄貴、何か言ってくれよ。不安になるだろ。」

深い悲しみ故に俺が何も言わないことで妹を不安にさせてしまったようだ。

いかん!

いかんぞ!

お兄ちゃん失格だ!

一刻も早く失点を取り戻さないと。

ここはおかえりと言ってくれないことを悲しむのではなくて兄貴として正しい挨拶のルールを教えるべきだな。

何と言っても妹は今までずっと病院にいたんだからな。

「花蓮。家に誰かが帰ってきたら『おかえり』って挨拶するんだぞ。」

兄貴としてきちんとした挨拶を教えたのに妹は可愛い口を開けて固まってしまった。

妹よ口をポカーンと開けていても可愛いな。

しかし、いくら妹が可愛いと言っても挨拶をおろそかにするのはダメだ。

「花蓮。分かったか?分かったら言うことがあるよな?」

ここは心を鬼にして少し強い口調で言う。

もしかしたら妹に嫌われるかもしれないが例え妹に嫌われようときちんと挨拶のルールを教えるのが正しい兄の役目だ。

「お、おかえり?」

!!

!!!

世の兄達は日々このような歓喜に打ち震えておったのか!

ふっふっふ、しかし俺も今日からそんな者たちの仲間入りだ!!!!!

は!

感動している場合じゃない。

「うん、ただいま。家族とは言え、いや寧ろ家族だからこそ挨拶は大事だぞ。」

「あ、ああ。分かった!ってそうじゃない!他に言うことがあるだろ!」

妹がノリツッコミと言う高度な技を駆使してきた。

他に言うことってスルーすべきと思ってスルーしていたんだが妹自ら掘り起こすとはな。

おそらく妹がリビングで叫んでいたセリフについてだよな。

妹に漫画やアニメを教えたのは俺だ。

だから妹のセリフの意味は分かる。

これは世にいう厨ニ病と言うものであろう。

おそらく長い寂しい病院生活を耐えるために漫画やアニメの世界に自分を溶け込ませたんだ。

ごめんな寂しい思いをさせて。

何かの本で読んだがこういう場合下手に妹の状況を否定したらダメらしい。

ゆっくりと状況を認識させ環境に適応させるべきだとか。

今ままで生活に影響がなかったことから時間をかけて解決することがベスト解だと思う。

「ステータスのことだろ?他の人にはばれたら不味いと思ったから聞いてないフリをしたんだけど?」

妹の目が急に真剣な目つきになった。

「兄貴、ありがとう。だけど聞かれたからにはきちんと話をしないといけないと思うんだ。」

!!

!!!

妹に!

妹にお礼を言われた!

これだけでご飯3杯はいけるぞ!

「兄貴、実はアタイは前世で勇者だったんだ!」

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