シンデレラ①
シンデレラ編です。投稿遅くなりすいません
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むかしむかし、とても美しくてやさしい娘がいました。
でも悲しい事に、娘のお母さんは早くになくなってしまいました。
そこでお父さんが二度目の結婚をしたので、娘には新しいお母さんと二人のお姉さんが出来ました。
ところがこの人たちは、そろいもそろって大変な意地悪だったのです。
新しいお母さんは、自分の二人の娘よりもきれいな娘が気に入りません。
「まあ、あんたは何て、にくらしい娘でしょう」
お母さんと二人のお姉さんは、つらい仕事をみんな娘に押しつけました。
それに娘の寝るふとんは、そまつなわらぶとんで、娘の着る服はボロボロのつぎ当てだらけです。
お風呂に入る事も許してもらえず、娘の頭にはいつもかまどの灰が付いていました。
そこで三人は娘の事を、『灰をかぶっている』と言う意味のシンデレラと呼んだのです。
可愛そうなシンデレラでしたが、それでもシンデレラの美しさは、お姉さんたちの何倍も何倍も上でした。
ある日の事、お城の王子さまがお嫁さん選びの舞踏会を開く事になり、シンデレラのお姉さんたちにも招待状が届きました。
「もしかすると、王子さまのお嫁さんになれるかも」
「いいえ、もしかするとじゃなくて、必ずお嫁さんになるのよ」
二人のお姉さんたちとお母さんは、大はしゃぎです。
そんなお姉さんたちの仕度を手伝ったシンデレラは、お姉さんたちをニッコリ笑って送り出しました。
それからシンデレラは悲しくなって、シクシクと泣き出しました。
「ああ、わたしも舞踏会に行きたいわ。王子さまに、お会いしたいわ」
でも、シンデレラのボロボロの服では、舞踏会どころかお城に入る事も許されません。
その時、どこからか声がしました…
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大都会のど真ん中にひっそりと佇む小さな公園。喧騒の中に突然出来たオアシスに、昼の柔らかな日差しが差し込む。
その中でも一番日当たりの良いベンチに座り、広場を走り回る子供たちをぼんやりと眺めていたら、日差しに影がさした
「お待たせして申し訳ないです、硝子さん」
「いいのよ、私も今来たとこだから」
男が差し出した手を取り、硝子はベンチから立ち上がった。
―――この男、八王子 幸とは結婚相談所で知り合った。
経営コンサルタント勤務、年収800万以上。年齢は今年40歳らしいが、歳を感じさせない若々しいスタイル。性格も穏やかで爽やか。実家は農家ではなくごく普通の一般家庭の3兄弟の次男…
ここまで自分の希望とマッチした人とはこれまでいなかった。
今まで出会ってきた男たちの中でも最高の人材である。
―――20代の頃は引く手あまただったが、どれもこれもつまらない男ばかりで、硝子の欲を満たすような男は居なかった。
そんな取るに足らない男共をふるいにかけるうちに気付けば三十路をとうに過ぎてしまい、今度は男の方から見向きもされなくなってしまった。
両親も相次いで亡くなり、最良の見合い話を持って来てくれるような親戚も皆無。
それで慌てて結婚相談所なんかに駆け込んだ次第だったが…
この5年間、不作続き。
年収が良くても初老もとうに過ぎた介護目前の爺さんだったり、実家暮らしの低収入バツ2の不良債権だったり…
とにかく酷い残り物ばかりだった。
一度は良さげな男性を紹介された事もあったが、逆にこちらの年齢を理由に断られた。
そんな散々な結婚相談所通いをしてたが、つい先月、硝子の元に黒い本が郵送で届けられた。
宛名もなく不審な郵便物であるその本はなぜか不思議な力を持っており、硝子に話しかけてきたのである
―――もうすぐお前の望みが叶う…
と…
すると、5年も通っても中々掴めなかった最良の縁がこの度結ばれたのである…
鞄の中にある黒の本を強く意識する。
―――このチャンスは絶対に逃したくない…きっとこの出会いは『シンデレラ』がもたらしてくれた奇跡だから…
そんな決意を胸に、大通りに向かって歩きだした幸の腕に撓垂れかかり、甘えた声で囁く
「ねぇ、幸さん。こんな昼間から私を呼び出して、何処へ連れてこうっていうの?」
「その節はすいません。今日は少々遠出になりますので、それで早めにお呼び立てした次第です。場所はまぁ、秘密って事で」
幸は苦笑いをしながら路肩に停めた一台の高級車に近付き、懐からリモコンキーを取り出してロックを解除した
「ふぅん…とっても素敵な所なのかしら?」
「えぇ。硝子さんにとって、とても大切な場所になると思いますよ」
幸に開けて貰った助手席に乗り込み、シートベルトを着用しながらほくそ笑む
(大切な場所ねぇ…結婚式場かしらね…幸さんたら…そこまで私の事考えてくれてるのね…)
硝子の幸せな想像を乗せ、車は繁華街の方へと走りだした
シンデレラ
灰川 硝子38歳
司る魂:光
大罪:強欲
容姿は黙ってれば綺麗な人です